コラム

Column

蹞歩 ~採用・教育・評価について~

企業にとって尽きない悩み… それが「人」について

今回は、ここ数ヶ月で私が悩んでいたこと、そしてそれをお会いする社長のほとんどの方に質問して、私なりに出した答え(あくまで現時点での暫定です)を、アウトプットしてみようと思います。この質問をされたことがある方は「あの話ね 笑」となりますが、お付き合い下さい。

私が会う人に聞きまくっていたこと、それは、、、

『「採用」と「教育」と「評価」のうち、どれが一番重要だと思いますか?』

という質問です。

 

みなさん、第一声は「どれも大事でしょ」なのですが、それは重々承知のうえ。その中でもあえて順位をつけると、どれが一番大事なのでしょうか?という問いを投げさせてもらいました。「飲み会の場でめんどくさい質問するな~」という顔をしながらも、みなさんが真面目に答えていただけたおかげで、学びになりました。ありがとうございます。

 

「採用」派の意見

・教育が必要ない人を採れば、教育の優先順位を下げることができるから

・入口の時点でマッチングできないと、人を生かす経営にならないから

・いい社員が入社してくれるかは企業の力を測るバロメーターになる

・採用と教育と評価で、逆に一番失敗したら痛いものを選んだ

・良い社員が入れば、おのずと評価はついてくる

 

本当にいろんな方に聞いたので、まだまだ答えはあったのですが、大きく上記のように分類されました。

なるほどな、と思う意見ばかりでした。確かに、特に中小企業は採用のミスが大きな痛手となります。100人いる会社が1人の採用をミスしても99%が稼働すれば会社が傾くことはありません。当社のように5~6人の会社で1人の採用ミスをすると、80%の力で会社を稼働させなければならないからです。最たる例が、1人の会社です。代表+1名の「1名」をミスった暁には、50%の力で会社を稼働させることになります。

ですが、私には違和感がありました。『では、どのようにして良い人材を採用するのか?」という点です。MVVがしっかりしていることや経営者が魅力的であること、事業モデルがしっかりしていることなどは最低限できていたとしても、教育体制がしっかりした会社じゃないと経験者ばかりを採用することになりますし、そうなると本当に優秀な人は転職よりも起業を選ぶかもしれません。成果をしっかりと評価する会社でなければ、入社後に転職や独立をするかもしれません。つまり、良い人材の採用のためには「教育」と「評価」の体制づくりの方が重要なのでは、という話です。

 

「教育」派の意見

・しっかりと教育することができれば、採用の間口が広がるため、事業を展開しやすい

・採用は「縁」も大事になるが、教育は自社の努力でどうにかなる

・人を選べるほど、人材が足りているわけではないので育てるしかない

・「共育」という観点で、教える側の成長も促す。人が伸びれば会社も伸びる

・これから先、人材不足(労働人口減少)が起きるので、教育が重要

 

こちらも、納得する意見ばかりでした。先に答えを言ってしまうと、岡村個人的には、教育が一番重要だと思っています。人が歳を取るのと同じくして、会社も老齢になっていきます。私の年齢が近いこともあり、20代後半~40代の経営者の方と話す機会が多いのですが、だいたいの人は今が一番脂がのっていて、ハイパフォーマンスな時期なんですね。では、「50歳になったとき、60歳になったとき、今と同じ働き方ができますか?」と聞くと、だいたいの人が『無理無理(ヾノ•᷅ ༬•᷄ )』と言われます(←こんな顔をしながら)。

そうなると、自分が働かなくても済むビジネスモデルに転換するか、自分の右腕を雇い、育てることをしないと事業に再現性と継続性が生まれません。人を育てる(特に、代表の代わりになるような方)ことは短期間では難しく、長期的スパンで取り組む必要があるように感じます。しかし、その一方で、どんなにしっかりとした教育ができても、入口(採用)の時点で不向きな人や職務適正が低い人を雇ってしまうと、教える方、教わる方のどちらも苦労するのは自社・他社の経験から学習しました。う~む、教育が答えではないのかな、という新たな悩みを抱えることになりました。

 

「評価」派の意見

・評価をちゃんとする(報酬や役職を与える)ことで、成長する環境を作れば教育にもつながる

・教育するだけで評価がついてこないと、モチベーションが続かない

・逆に、評価されない会社って人が続かないし、採用も上手くいかないのでは

・頑張っている社員を評価したいが、それが適正なのか悩んでいるし、難しいと感じている

・採用や教育は外部の力を借りることでなんとかなるが、評価は自社で解決しないといけないから

 

これも、自社に通ずる部分があり、どれも心当たりがある意見ばかりでした。インセンティブ制度にしていない限りは、給料って上げるのは簡単ですが、下げるのってなかなか難しいですし、単純に数字(成果)だけで判断するのもどうなのか、という話にもなります。営業職であれば売上などの分かりやすい指標を設けやすいですが、事務職は貢献度を数値化することが難しく、評価も難航しそうです。代表や管理職の好き嫌いも排除するべきでしょうが、人間なので多少は出ちゃうよね、、、というのもあり、評価って答えが無いですよね。

ちなみに当社は、昨年の冬に人事評価で非常に頭を悩ませました。当時は私を含めて社員数が5名だったので、冬の賞与を支給するために自分以外の4人を評価しましたが、悩み過ぎて徹夜しました 笑  という経験を踏まえ、今は全てを数値化し、3つの観点(成果、部門KPI、スキルアップ)から評価するようにしてます。この夏は、あまり悩まなくて済みそうです。私の経験からは、『評価基準は自社のMVVに基づいて、経営者が軸を決めるしかない』という結論に至っているので、重要ではあるのですが、採用や共育ほどの重要度を感じていないだけかもしれません。

 

私なりに出した答え

これはまず、私の答えというより、とある尊敬する経営者の方がおっしゃっていた言葉です。(採用、教育、評価は全て大事だけどね、という前置きがあった上で)「その会社のフェーズによって変わるんじゃない?」ということでした。これで、私はめちゃくちゃ腑に落ちました。

色々な方から話を聞かせていただいたことを思い返すと、確かに、その会社が『今、まさに悩んでいること』が色濃く出ているな、と気づいたのです。

当社も同じくで、創業してからは採用が課題でした。しかし、人材を1名採用したら、次は教育が課題になってきました。共育の行程をマニュアル化したり、スキルマップを作成したりして、教育については時間を割いてきました。そして、前述の通り評価に課題を感じて、評価テーブルを作ったのです。そうすると、次は採用に取り組みました。そして今、まさに共育に課題を感じているのです。

こうやって、採用と教育と評価の課題は輪廻するものだと気づき、そこからは『「採用」と「教育」と「評価」のうち、どれが一番重要だと思いますか?』という質問は、”課題のフェーズがどこにあるのか”を確かめるものに変わりました。そうやって話を聞いていくと、「やはり重要だと思う=課題を感じている」というパターンがほとんどでした。

 

「採用」「教育」「評価」は三位一体

めちゃくちゃ当たり前のことなのですが、ようやくこれらが三位一体であることに対して「腑に落ちる」という体験をしました。そして今後、この「採用」と「教育」と「評価」に関するサポートをできないかと考えています。当社のビジョンは「Infomation Partnerとして地域や中小企業に頼りにされる企業になる」です。偉そうにコンサルティングするわけではなく、現在、提供している伴走型マーケティングサポート「Labout」と同じく、色々な経営者さんのトライ&エラーを情報(またはナレッジ)として共有することで、クライアントの経営をサポートするのが当社の役割です。「採用」「教育」「評価」に関して、当社なりに何ができるかを考えていきたいと思います。