はじめに
今月は日経MJで気になった記事を取り上げていきます。余談ですが、先日、新入社員歓迎会ということで、全員で飲みにいきましたが、その飲みの席でフィッシュ&チップスのフィッシュを取り合うという「フィッシュをかけた戦い」が勃発しました!私が食べたくて頼んだのですが、代表取締役、取締役、そして新入社員まで私のフィッシュを強奪するという惨劇(喜劇なのか?)が繰り広げられました!!フィッシュを食べるために4回も注文しました( ノД`)シクシク…ぜひ、弊社と飲みに行く際は、フィッシュを強奪されないようお気をつけ下さい(笑)
無印・セリア銀座になじむ
銀座といえば、高級ブランド店や高級百貨店が並んでいるとうイメージを多く持たれていると思います。実際、銀座に店舗を出すということは、ブランド価値が高まると言われています。アップルやマクドナルドなどは、日本に進出する時、最初に出した場所は銀座です。しかし最近、銀座の街並みが変わってきました。
①プチプラ(プチプライス)の激戦区化
2022年に入り、100円ショップのダイソー、セリア、300円台が中心の3COINS、無印良品も500円以下の専門店を出すなど「プチプラ業態」が相次いで進出しました。皆さんもおなじみのダイソーや、セリアなどがまさか銀座に進出と思いませんか?銀座と言えば東京でも1等地になるので家賃はかなり高いです。そんな場所に出して採算はとれるのか?など思いますが、各店、今後の戦略を考えて進出したとのことです。
2022年11月16日刊行 日経MJより
②銀座の消費者に各店舗のブランド力についての聞き込み調査実施
日経MJは、各店舗についてのブランド力について調査を行いました。調査は商品、価格帯などを考慮して競合となりそうなブランドを対象にしたとのことです。具体的には「3COINS」(スリーコインズ、3COINS+plus含む)、「セリア」、「スタンダードプロダクツ」という価格均一系ショップと、日用品などでその競合となる「無印良品」を比較しました。8~10月に銀座の街を歩く10~60代の男女に聞き取りを行ったとのことです。
ブランド力の指標として
(1)「ブランド力(あなたにとってのその店舗の価値)」
(2)「品質の高さ」
(3)「価格の手ごろさ」
(4)「コストパフォーマンス」
(5)「高見え度」(実際の価格よりも高価に見えるか)
5項目に対して1~5点で点数を付けてもらい、平均点を算出しました
③聞き込み調査の結果
無印良品
合計点のトップは無印良品の20.5点でした。お客様の声として「価格が少し高いけれど他の店より好き」(30代女性)、「やっぱりブランド力は1番」(20代男性)と固定ファンを多く抱えていることが強みでした。
セリア
2位はセリアの18.6点でした。100円以上の商品を投入する100円ショップが増えている中、「値札を見ないでも買える体験価値を提供する」と100円(税抜き)商品にこだわっていることが支持されました。お客様の声として「セリアは100円で、300円均一と同じくらいおしゃれな商品が売っている」(30代女性)など品質の高さでも評価を得ています。また「トレンドを捉えた商品を置いている」との声も聞かれました。
スタンダードプロダクツ
3位はスタンダードプロダクツの18.0点でした。同店は300円台を中心に110~1100円までの価格を扱います。お客様の声として「皿を購入したことがあるが、フランフランみたいなデザインなのに300円というのには驚いた」(50代女性)など高見えする商品に支持が集まっていました。
3COINS
4位は300円を中心とした商品を扱う3COINSの17.6点でした。お客様の声として「インスタグラムでよく話題になっており、トレンドをよく捉えているイメージ」(30代女性)、「キッチン用品を買いに来ることが多い。商品がよく入れ替わっているので毎回新しい発見がある」(50代女性)という声が聞かれました。子供の抜けた歯を入れる「乳歯ケース」、お風呂で使える「スマホ防滴ケース」などアイデア商品などにも評価が集まっていました。
調査結果はこのような結果となっていますが、おもしろいのが、30代以下だけでみると、3COINSとスタンダードプロダクツは他の2ブランドと比べ全世代平均より大きく上昇する結果になったのです。スタンダードプロダクツは高見えやコスパが評価され、合計スコアは19.3点に。3COINSは特に品質、価格、コスパが全世代平均より高くなり、合計スコアは19.1点でした。2ブランドは中高年の支持が少なく伸び悩んだ結果となりました。
2022年11月16日刊行 日経MJより
④なぜ銀座にプチプラ業態が集まったのか?
まず、コロナ禍の影響が大きいです。コロナ禍で元気のないアパレルなどが出店しにくくなっているところに、勢いのあるプチプラ業態が銀座に入りやすくなったと市場の変化がありました。その中で各社の戦略は様々になります。
無印良品
新たな新業態として、500円以下の専門店をオープンさせました。無印良品の通常の店舗の来店頻度は月に1回程度の所を、新業態では、来店頻度を週に1回まで高めることを目指すとのことでした。銀座に1号店を出すことで新たなブランドイメージを広げていきたいとの戦略があります。
セリア
セリアは「銀座を湾岸エリアの人口が増え需要が見込める商圏」とし、銀座周辺に住む生活者の需要も見込めると判断したとのことです。実際に銀座の街を歩く人からは「映画や観劇を見た後にちょっとした物を買うのに便利」、「職場が銀座なので帰りに寄れて便利」などの声が聞かれており、高級店が並ぶ銀座でも勝算が見込めると思い進出しました。
スタンダードプロダクツ
スタンダードプロダクツは、「世界に発信するグローバル旗艦店」として銀座に出店しました。若者以外の認知拡大に向けて幅広い年齢層が集まる銀座へ出店することで、認知拡大を行いたいという戦略があります。
3COINS
3COINSは「大規模で発信力のある店舗を通じて、消費者への認知度やブランド力を高める」として銀座に出店しました。スタンダードプロダクツと似ていますが、30代以下の認知度は高いですが、幅広い年齢層の認知度は低いため、銀座に出店することで認知拡大を行いたいという思惑があります。
まとめ
今回、プチプラ業態の記事について取り上げましたが、この記事の特徴として4Pのプレイス(流通戦略)の事例にあたると思います。最初の方で少し触れましたが、アップルやマクドナルドも銀座に1号店を出すことでブランド価値を高めようとしました。今回のプチプラ業態についても、企業のブランド価値や、認知拡大を向上させるには銀座が最も適した場所であるという流通戦略を立てた事例になります。
SNSの主役おすすめショート動画に
今や日本でも多くの人が使うようになった「SNS(交流サイト)」だが、SNSというサービスの主役が確実に変わろうとしているとのことです。
①タイムライン型について
SNSにおいてユーザーの一番見る画面として象徴的だったのは、ツイッターが発明した「タイムライン」型のインターフェースでした。時系列で新しい投稿が一番上に並んでいく画面は、メールやブログなどでも使われていましたが、ツイッターはオープンなウェブサービスにも適用しました。自分がフォローしているアカウントの投稿が時系列に並ぶタイムラインを、フェイスブックも参考にして「ニュースフィード」を開発するなど、多くのSNSで一般的な機能の主流となっていました。
②ショート動画の火付け役
その流れが大きく変わったのは、ショート動画サービスの火付け役となったTikTokの「おすすめ」フィードの登場です。TikTokでは従来のタイムライン型のフォローしているユーザーの投稿一覧とは別に、おすすめフィードと呼ばれる人工知能(AI)が自動的にユーザーに合わせて最適な動画を表示する機能を発明しました。「おすすめ」をメインで表示する選択をしたのです。AIがユーザーの興味関心に合わせて投稿を選択する機能自体はフェイスブックやツイッターでも提供されていますが、TikTokはフォローしていないユーザーの投稿が出てくるところが大きな違いと言えます。TikTokが開発した「おすすめ」の機能はユーザーの間で大人気となったことで、ショート動画においてはフォローしているかどうかよりも、多くのユーザーが面白いと思う動画を表示する方がユーザーが喜ぶことが証明されました。
③現在のSNSについて
TikTokのシステムが人気になったことで、多くのSNSが「おすすめ」ショート動画機能を取り込むようになりました。ユーチューブは、2020年9月に「ユーチューブショート」という機能を開発。現在は1日300億回以上も再生されています。インスタグラムも、「リール」という機能を開発しました。現在ではインスタグラムの中心機能になっているだけでなく、インスタグラムと連携しているフェイスブックでもリールが表示される機能が強化されています。さらには現在イーロン・マスク氏による買収が話題になっているツイッターでも、買収直後に早速マスク氏がショート動画機能の開発を指示したそうです。実際に各SNSは「おすすめ」型のショート動画を取り込んだことで、ユーザーのアプリ利用時間を増やしたり、広告収益をアップするのに効果的であることという結果が出ているとのことです。
まとめ
すでにTikTokのショート動画やインスタのリールを活用されている人も多くいると思いますが、改めて記事が特集されていたので紹介しました。今後はフォロワー数を増やすという目的より、興味がある人にいかにささる動画、広告をだすことが重要であるとも記事には書いてありました。ただこの主流も数年後にはまったく別のものに変わっている可能性があるとのことです。時代の速さに取り残されないように常にアンテナをはっておく必要がありますね。
まとめ
今回、4Pのプレイス(流通戦略)を主に記事にしていきました。プレイスとは「どこで売るのか」を考え、ターゲットに対して流通経路や入手しやすさなどをいかに最適に製品やサービスを提供できるかという点を考えることになります。また顧客目線では4Cのコンビニエンスにあたります。コンビニエンスとはターゲットとする消費者が「商品やサービスを手に入れやすい方法かどうか」の視点になります。今回のように幅広い年代の人が、多く集まる銀座に出店することで利用しやすくなりましたよね。また、逆に入手しにくいなどの希少性も価値が高まります。実際、無印良品の500円以下専門店は銀座にしかありませんが、そこでしか手に入らないという価値がありますね。このようにどこで流通させるかで商品の価値が変わるのもプレイス(流通戦略)のおもしろい所です。