皆さんは映画館や街角に貼られた一枚のポスターに心を掴まれたりしたことはありますか?
映画を観た後にその余韻を持ち帰るような気持ちでパンフレットを買ったりチラシを部屋に貼ったり誰もが一度はそんな経験があるのではないでしょうか?
今回ご紹介するデザイナーはポスターやパンフレットをはじめとした映画の宣伝素材を手がけるグラフィック・デザイナーの大島依提亜(おおしま・いであ)さんです!
欲しくなるパンフレットを世に送り出す仕掛け人として注目を浴びている方です!!
他にも書籍の装丁デザイン、展覧会のポスターデザイン等、数多くのものを手がけられておられますが今回は映画のポスターに注目して、映画のストーリーを交えながらご紹介したいと思います!
ミッドサマー
アメリカの大学生グループが、留学生の故郷のスウェーデンの夏至祭へと招かれるが、のどかで魅力的に見えた村はキリスト教ではない古代北欧の異教を信仰するカルト的な共同体であることを知る。この村の夏至祭は普通の祝祭ではなく人身御供を求める儀式であり、白夜の明るさの中で、一行は村人たちによって追い詰められてゆく様子を描く。
このポスターは「好きなポスターデザインの話」にも紹介したのですが
1枚目は大島依提亜さんと画家・ヒグチユウコさんが手掛けた日本版ポスターです。
2枚目は大島依提亜さんがデザインしたものです!
ポールの周りで踊る女性たちと、視線を向ける村人たちを墨とゴールドで表現してあり、映画の不気味さと信仰を表現しているように見えます。
配給会社の「A24」のオフィシャルショップで発売開始されるやいなや絵画版は即完売となり、ゴールド版もすぐ品薄になったそうです!
ちなみにヒグチユウコさんは大大好きな画家なのでまた別の記事で紹介したいなと思っています!
元のポスターはこちら
うぇーーん!!と泣いてる様子がよくわかります。
パンフレットも素晴らしいです!欲しかったー!!
出典:大島依提亜さんのTwitter
本文全ページ抜き型でバラバラボロボロ仕様にしているそうです!!
印刷物でこんな仕様が出来ちゃうんですね!!すごすぎる・・・!!
このボロボロな感じ、めちゃくちゃ映画の世界観にぴったりなんですよね・・・。
大島さんのこだわりがぎゅっと詰まってる気がしました!
LAMB/ラム
<ストーリー>
山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。ある日、二人が羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。子供を亡くしていた二人は、””アダ””と名付けその存在を育てることにする。奇跡がもたらした””アダ””との家族生活は大きな幸せをもたらすのだが、やがて彼らを破滅へと導いていく―。
こちらも配給会社「A24」の映画です!
絵を見たら気付かれましたか?
1枚目が画家のヒグチユウコさん・大島依提亜さんのポスター
2枚目が大島依提亜さんの手がけた作品です!
ちなみにこの1枚目のポスターは抽選販売だったので応募しましたがだめでした!
ヒグチユウコさん・大島依提亜さんのポスターは欲しくても買えない世界線・・・。
出典:Oddity The Store
元のポスターはこちら
パンフレットは表紙はモフモフの紙にエンポス加工で下の羊の細かな毛並みも浮き出してます。パンフのエンポス部分は白インキ2度刷りを忍ばせているそうです!大島さんのこだわり盛りだくさんですね!
私も売り切れる前に映画が始まってすぐ買いに行きました!
出典:大島依提亜さんのTwitter
ルイス・ウェイン
<ストーリー>
イギリスの上流階級に生まれたルイス・ウェイン(ベネディクト・カンバーバッチ)は父亡きあと、一家を支えるためにロンドンニュース紙でイラストレーターとして活躍する。やがて、妹の家庭教師エミリー(クレア・フォイ)と恋に落ちたルイスは、身分違いだと大反対する周囲の声を押し切り結婚するが、まもなくエミリーは末期ガンを宣告される。そんな中、庭に迷い込んだ子猫にピーターと名付け、エミリーのために彼の絵を描き始めるルイス。深い絆で結ばれた“3人”は、残された一日一日を慈しむように大切に過ごしてゆくが、ついにエミリーがこの世を去る日が訪れる。ルイスはピーターを心の友とし、ネコの絵を猛然と描き続け大成功を手にする。そして、「どんなに悲しくても描き続けて」というエミリーの言葉の本当の意味を知る──。
2枚目が大島依提亜さんの作品です。
ルイス・ウェインが描いた沢山のネコで溢れかえっております。愛猫家でもある大島さんの猫愛が溢れたポスターですね!
出典:Cat Press
この映画見たかったのですがなんと熊本で上映しておらず・・・!
アマゾンプライムに入ってくれる事を願います。
万引き家族
<ストーリー>
東京の下町に住むある一家5人は、生活費を補うために親子で万引きなどの犯罪を繰り返していた。そんなある日、一家の父は息子と共に帰宅する途中、団地内で凍える幼い女児と遭遇。彼はその幼女を連れ帰り、家族に迎え入れる。
この映画は知ってる方も多いはず!この写真を見るだけで心臓がギュッとします。
題字と絵は絵本作家・画家のミロコマチコさんが描いてるそうです!
この題字のデザインや写真、映画とぴったりだなと思えました。
出典:映画ナタリー
ミロコマチコさんはとても素敵な絵を描く方で、普段は躍動感がある絵を描かれるイメージがあったのですが今回は映画の雰囲気に合わせて繊細なイラストになってますね。情熱大陸にも出演しておられる有名な方です!
ミロコマチコさんの絵本がとても素敵だったので2冊買って1冊は友達にプレゼントした事がありました。
レンタネコ
<ストーリー>
平屋の日本家屋でたくさんの猫に囲まれて暮らすサヨコ。彼女は、レンタネコという一風変わった商売を営んでいた。猫たちをリヤカーに乗せて街に繰り出すサヨコは、夫と愛猫に先立たれた老婦人や単身赴任中の中年男性、あるいは誰も話し相手のいないレンタカー屋の受付嬢といった孤独な人たちとめぐり会っていく。
2012年の映画です。10年前ですね、猫好きの友達と観に行ってパンフレットを買って帰ったのを覚えています。
注目してほしいのはパンフレットです!このパンフレット表紙の猫の目の部分に穴が空いててとても可愛いんです!!
中を開いてもとっても可愛いデザインになっています。
出典:MOVIE WALKER 出典:株式会社 スールキートス
出典:駿河屋
ちょっと思い出しただけ
<ストーリー>
コロナ禍という時代性をまとった新しい形のちょっぴりビターなオリジナルラブストーリー。ロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観が、ジム・ジャームッシュ監督の映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て書き上げた楽曲「ナイトオンザプラネット」をもとに、松居大悟監督が現代を反映させつつ描いた。けがでダンサーの道を諦めた照生(池松)とタクシードライバーの葉(伊藤)の2人を中心に、関わる登場人物たちとの会話を通じて都会の夜に無数に輝く人生たちの機微を、繊細かつユーモラスに映し出す。
出典:映画ナタリー
なんと8種類もあります!
二人の日常が散りばめられていて、並べてみると映画を観たような気分になれますね。
私は特にこのフォントの並びと置き方がめちゃくちゃ好きです!
ちなみにメインのポスターは東京タワーをバックにタクシーを運転してるビジュアルです!
(500)日のサマー
<ストーリー>
運命の恋を夢見る男の子と、真実の愛なんて信じない女の子の、ビタースウィートな500日ストーリー サマーに恋をした、最低で最高の500日。 建築家を夢見つつ、グリーティングカード会社で働くトムは、秘書として入社したサマーに一目惚れしてしまう。意気投合し、いいムードになった二人。トムがサマーに「彼氏はいるの?」と聞くと、サマーの答えはノー。恋愛と友情の間に果てしなく広がるグレーゾーン。人を好きになるって、どうしてこんなに楽しくて切ないんだろう。誰もがまた恋したくなる、二人の(500)日がはじまる!
2010年のアメリカで作られた作品です。今から12年前ですか・・・
この作品に出てくるサマーという女の子がとっても可愛くて大好きな作品だったのですが、このコラムを書く時に大島さんの事を調べていたら(500)日のサマーも作ってるとわかってびっくりしました!
この映画は男女とも感想が分かれるので面白いです。観てない人は是非観てみてくださいね!
ここではあえて4カ国のポスターで見比べてみようと思います!
同じ映画と思えないくらいイメージバラバラですよねー。
大島さんを贔屓してる訳ではなくダントツ日本のデザインが最高です。
他の国のポスターなら見たいと思ってなかったと思います。
他の国が沢山の写真を使って500日を表現するなか大島さんの作品は映画のワンシーンを切り取ってバーン!!と載っけて映画の世界観をズバリ表現しています。すごいなーー!!
この作品を観てる方は絶対日本のポスターが良いと言うでしょうね〜!!
まとめ
大島さんの一部作品を見て思ったのが、ガッツリ手を加えてあるものから、サラッと少しだけデザインを加えているのもあり、その上でしっかり映画の世界観が表現されているなと感じました。
そして大島さんが何を考えながら映画のポスターを作ってるのかというインタビュー記事を見つけました!
「ほぼ日」さんのウェブインタビューで答えられてた言葉を一部抜粋しました。
「究極的には、デザインよりも映画が重要」
このすばらしい映画に奉仕したい、という気持ちが勝っちゃうと、デザインするにしろ、しないにしろ、どうしたら、この映画の魅力を伝えられるだろうって、そのことばかりを考えています。
その雄弁なデザインはどうでもいいから、もっと監督とかキャストとか、内容のわかるようなものにしてほしいんだけど、みたいな気持ちになっちゃうんです。
出典:ほぼ日イトイ新聞コンテンツ
大島さん自身がとても映画を愛しているからこそ、その人が作るポスター達は作品に対してリスペクトが溢れていてのだろうと感じました。
デザインとはなんぞやという話もしているので気になる方は是非読んでみてください!!
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ほぼ日イトイ新聞
これからもどこかで大島さんの作った作品を見かけると思うので是非注目してみてください!!
大島依提亜(おおしま いであ)
栃木県生まれ。映画のグラフィックを中心に、展覧会や書籍のデザインを手がける。最近の仕事に、映画『パターソン』『万引き家族』『ミッドサマー』『ちょっと思い出しただけ』『カモン カモン』展覧会「谷川俊太郎展」「ムーミン展」「ヨシタケシンスケ展かもしれない」、書籍「鳥たち/よしもとばなな」「小箱/小川洋子」など。
写真出典:PINTSCOPE