開催概要
日時 : 2023/1/21(土) 10:30~12:30
会場 : 熊本市現代美術館 会議研修室
内容 : 4P分析「プライス(価格戦略)」
~良いものが高く売れるとは限らない!
最新の価格設定事情~
講師 :溝口 敏博(株式会社熊本マーケティング研究所)
マーケティング基礎講座とは?
STP分析などの環境分析からマーケティングミックス(4P)まで基礎を学ぶための講座です。参加者同⼠でのワークショップにより、即実践ができる体験型の勉強会となっています。初⼼者向けですが、⾃分以外の意⾒を聞くことで新たな発⾒がありますので、基礎から⾒直したいという⽅、改めて学び直したいという⽅にもおすすめです。
当日の内容
1月の勉強会では、マーケティング4Pの「プライス(価格戦略)」について、最新の事例を交えながら、座学、ワークショップを通して理解を深めました。
4P分析とは?
4P分析とは以下の4つ(プロダクト、プレイス、プライス、プロモーション)を分析することを言います。
全体を通してのマーケティングプロセスを図に表すと以下のようになります。
今回の勉強会では矢印で記している4P分析の1つプライス(価格戦略)について学びました。
プライス(価格戦略)とは
価格とは…
売り手と買い手の合意によって決めた商品の価値のことであり、「プライシング」はそのプロセスになります。
プライシングとは…
買い手の「払ってもいい額の範囲」と売り手の「売ってもいい額の範囲」が重なる範囲を見極めて、価格を設定することです。
価格設定方法
価格を設定する方法として3つの型があります。以下に図として表します。
①コスト志向の価格決定をコスト基準型と言います。商品・サービス開発にどのぐらいの費用や労力を費やしたか、また提供するのにどれくらい労力を費やすかなどのコストを計算して価格を決定していきます。
②需要志向の価格決定をマーケティング戦略基準型と言います。新商品や新サービスを提供するにあたり、市場調査などを行います。顧客目線で価格を考えていきます。自分だったらいくらだと購入するかなどの目線が必要です。
③競争志向の価格決定を競争基準型と言います。競合他社の価格を参考に価格を決定します。ここで重要なのは、他社と差別化を図る意図を考えることです。価格を安くすることも他社と差別化を図れますが、価格を同じにするなら付加価値を高めるなど、どう差別化を図っていくかを考えます。
このように価格決定をするにあたり3つの型を考えて、決定した価格が妥当かを照らし合わせて行きます。例えばコスト基準型で考えて価格を決定しても、マーケティング戦略基準型で考えたときの価格決定とズレが生じていたら結果売れない商品になります。利益を追求しながらも、顧客に売れる価格にするかが重要です。
いろんな企業のマーケティング的価格戦略の事例
上記で価格設定について述べましたが、次は手法についていくつかの事例を解説していきました。今回の勉強会ではより多くの事例を解説することを重要視して参加者に学んでもらいました。ここではその中でいくつか紹介していきたいと思います。
①コストリーダーシップ戦略
よい商品を安く売るためには、業界のどのライバルよりも低いコストで商品を提供する戦略です。代表的な事例としてQBハウスやニトリになります。QBハウスは「髪をカットする」という散髪本来の目的に特化することで低料金、短時間という新しい価値を見出しました。また、ニトリについては皆さんCMでお馴染みの「お、ねだん以上。」というフレーズで家具業界で価格破壊を起こしていきました。
②ペネトレーションプライシング戦略
商品初期価格を割安に設定し、コストの回収よりもいち早く商品を市場に浸透させる戦略です。中長期的スパンでの利益獲得を目指します。代表的な事例としてセブンカフェになります。100円でどこでも飲める本格派レギュラーコーヒーとして、市場で大きなシェアを獲得しました。デメリットとして競合他社もマネがしやすいことになります。実際ローソンやファミマを対抗して100円コーヒーを出したことでセブンイレブンの強みではなくなりました。この戦略を用いる時は市場で大きなシェアを獲得したあとに価格の見直しが必要になります。
③スキミングプライシング戦略
商品を市場へ投入しようとする企業が高い収益力を得られるように、商品初期販売時の価格を高めに設定する戦略です。1番手を取れた企業は利益率が高い「上澄み利益」を得ることができます。代表的な事例としてiPhoneになります。2010年のiPhoneの販売価格は46,080円でしたが、2023年の販売価格は62,800円と年々価格は高くなっていっています。早期に開発コストを回収できる一方で市場に商品が浸透しにくいというデメリットがあります。
④サブスクリプション戦略
「サブスクリプション(subscription)」は「定期購読、継続購入」という意味。もともとは新聞や雑誌の定期購読を意味する言葉になります。代表的な事例としてNetflixやAmazonプライムになります。月額○○円で動画見放題などを良くみると思いますが、継続的に商品を購入してもらう仕組みになります。
⑤クロスセリング戦略
既に商品やサービスを購入してくれた顧客、または購入しようとしている見込み客に対して主の商品やサービスの他に、関連する別の商品やサービスをアプローチする戦略です。代表的な事例としてスーツ2着目以降半額で販売などになります。皆さんスーツ2着目半額で利益取れるの?と考えたことありませんか?実際は2着目の方が半額で販売していますが利益は高く取れています。どういうことかということを以下図で表します。
このようにクロスセリング戦略は安く販売しているように見えても実際は利益を取れるにようになっています。
その他にも1月の勉強会では多くの事例を解説していきました。このコラムを読んで興味を持った方はぜひ勉強会にお越し下さい!!
ワークショップ
学んだことをアウトプットしてみよう!!
プライス(価格戦略)について学んだことを2つのワークショップで個人ずつで考えてもらいました。
■テーマ①
自社のサービスや商品の価格を検証してみる
このテーマについては今回の勉強会で学んだ価格戦略の事例のうちの自社がどれにあてはまるかということを検証してもらいました!!
①発表する自社の商品・サービスの名前
②自社の商品・サービスの価格
③自社の商品・サービスの概要
④該当する価格戦略と具体的な内容
皆さん勉強会で学んだことを思い返して、自社の価格戦略がどの手法になっているか考えた結果を発表してもらいました!!
こちらが発表内容になります。感想を聞いてみましたが、入社前から自社の価格戦略は決まっていたので考える機会がなく、考えてみて勉強になりましたとの感想をもらいました。なかなか自社の価格戦略について考える機会はないと思いますが、コラムを読まれた皆さんも自社の価格戦略について考えるのはおもしろいと思います。
■テーマ②
1,自社の商品やサービスの価格戦略を変えてみる
2,こんなサブスクサービスあったらいいなを考えてみましょう
この2つから好きな方を選んでもらい考えてもらいました。
新しい価格戦略と内容(A案)
新しい価格戦略と内容(B案)
新しい価格戦略と内容(C案)
①ターゲット
②サービス名
③サービス内容
④価格
実際の発表内容です!!選んだ内容は半分に分かれました。
どちらの発表内容もとてもおもしろく参加者間で勉強になったと思います。弊社の勉強会の特徴として、他の人の意見も聞けることもベネフィットになります!!
まとめ
プライス(価格戦略)で重要なことは
プライスは4Pの中でも唯一、利益に直結する企業として売り上げもよりもトータルで利益をどう確保するかが重要。消費者が感じる価値が、価格を上回る価格設計が必要
↓
消費者・顧客目線に立つ
この視点が重要となります!!
次回予告
次回の勉強会は、以下の通りです。
日時 : 2023/2/18(土) 10:30~12:30(開場10:15)
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「月額10万円以下で成果を出す
~限られた予算でのweb広告設計~」
講師 : 杉本 鉄平(株式会社プロモートウェブ代表取締役)
詳細は、こちらのページからご確認ください。