はじめに
まず最初に言わせて下さい、WBC優勝おめでとうございます!いや~特に最後の2日間は痺れる試合が続いて興奮しましたね!村上様が打てて本当に良かったです!とWBCの感想を書くときりがないのでここまでにしときます。改めまして、熊本マーケティング研究所の高宗です。今月も日経MJで気になった記事を取り上げていきます。
信念に基づくパーパス経営
「パーパス経営」の記事が特集されていたので今回はこの記事についてコラムにしていきたいと思います。「パーパス」とは企業や組織が存在する意義や目的を指します。現代では、社会的責任を果たしつつ経済的な利益を追求することが求められるため、企業や組織が自らのパーパスを明確化することが重要視されてきています。
①パーパス経営は企業価値を下げてしまうのか?
テラス社が3月1日、投資家向けイベント「インベスターデー」の開催が行われました。しかし、盛り上がる場面はまったくなく、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「サステナブルな地球を実現するために、化石燃料にかわる電気ベースの文明をつくる」というパーパスをどう実行していくか、技術や環境、組織の問題を丹念に実証するのに終始しました。マスク氏と現場の社員のプレゼンには今後数年間の売り上げ・シェアの見込みや廉価版の新車の発表といった短期投資家が喜ぶ具体的な話はまったくなかったため、結果、イベント後の株価は約7%の大幅下落を記録しました。単なる利益追求だけでなく、社会的使命や価値観をもとに事業活動を行うというマスク氏の経営はパーパス経営のモデルになると言われていますが、それを公言することがマイナスに働いてしまいました。パーパス経営を行うことで企業価値が下がるということでしょうか?
②日本で成功しているパーパス経営の事例
日本でパーパス経営を実践しており成功している企業があります。「サクシード」という企業は、「次世代により良い社会を引き継ぐ」というパーパスのもと、M&A(合併・買収)仲介のプラットフォーム「ツグナラ」を運営してます。特徴は「地域の経営資源を担う」をコンセプトに、引き継ぎを希望する企業のうち、地域の未来を担うご当地企業を厳選して紹介していることです。地域の金融機関や支援機関と連携し、地域内の事業承継課題を解決しています。このような事業を展開した結果、思わぬ反響がありました。同社の社長によるとM&Aしたいという業者は「拡大思考の強い業者ではなく」、「地域を守りたい、地域に貢献したい」というパーパスを持った企業が集まりました。またパーパス経営を打ち出していることで予想していない副産物もありました。求人活動をしていないのに「M&Aを活性化している企業で働きたい」と希望する人たちが増えてきました。この状況を見て、地元の金融機関もますますM&Aを支援してくれるようになりました。
③今後パーパス経営は重要なのか?
先述で述べた「サクシード」の事例からパーパスを打ち出したことで経営に好循環が生まれてきたのは事実です。冒頭のテスラの例のように、パーパス経営は短期的には企業価値を下げるかもしれませんが、中長期的な視点で見ると話は変わります。パーパスをしっかりと打ち出すと、ビジョンに共感した長期的な顧客や協力者が集まってきます。テスラの株も、翌日には上昇し半値に戻しました。長期投資家にとって買いだと判断されたとのことです。マーケティングの世界でも、パーパスを打ち出した広告を打つと具体的な効果が見えないため広告の反応率は落ちるといわれています。しかし、長期的に見ればパーパスを理解する協力者に出会えるきっかけになるとのことです。短期的な弊害を恐れて、パーパスを率直に表現することを恐れていては決して長期的な効果は得られません。今後、信念に基づくパーパス経営を打ち出すことが重要になってくる可能性が高まってきいていると記事の中でも締めくくられていました。
まとめ
今回パーパス経営についてコラムを記載しましたが、パーパスと似たような考え方でMVV(Mission、Vision、Value)があります。パーパスとMVVの違いについては「社会的なつながりを重視するか」になります。MVVは必ずしも社会的な貢献を示す内容である必要はありませんが、パーパスは社会に対して自社がどのような価値を与えられるかを示す内容でなければいけないと言われています。以下に分かりやすく図を載せます。
※参照 株式会社DAIALEC MVVとパーパスの違いについて
このようにパーパスとMVVは似たようなものに考えられますが違うものになります。どちらが良いということではなく経営者の考えで選択すれば良いと思っています。ここで重要なのは、今後、企業を成長させていくにはパーパスやMVVなど企業の核となる考えが必要になってくることです。目の前の業績だけではなく、長期的な自社の考えが重要になってきます。まだ自社でパーパスやMVVを策定していない企業はぜひ今後の成長のために考えてみてはいかがでしょうか。ちなみに弊社は、「経営ガイドライン」というサービス提供を行っています。興味ある方は、ぜひコラムを読んでみて下さい。
将来を見据えた経営に必須!Labout「経営ガイドライン作成」サービスを解説
HP制作×マーケティング
毎年10%前後の成長が続いているホームページ制作会社アライブについての記事が特集されていたのでコラムにしていこうと思います。マーケティングとクリエイティブの関係性の記事ですごく興味深いものとなっていました。
①アライブの創業当初
ホームページ制作会社アライブは毎年10%前後の成長が続いていますが、依頼が増えている理由として「マーケティングができるホームページ制作会社」という評判が広まっているからだそうです。創業当初はデザインにこだわったホームページの制作に力を入れていましたが、クライアントや仲介に入る広告代理店から「こんなふうに直してほしい」と指示が入ることが多く、想定外のホームページになってしまう事案が相次いだそうです。
②マーケティングができるホームページ制作会社となった理由
想定外のホームページ制作案件が続いたさいに、代表の三輪社長は「デザインには正解がないので、いろいろな人が口を出したくなりなにが正解か分からなくなってきた」とのことでした。そこで「なぜ、このデザインにしたのか?」を説明できるマーケティングの知識がなければ、お客様も納得するホームページを作ることはできないと思ってマーケティングの勉強を始めました。マーケティングの知識を得るためにビジネス書を読んだり、セミナーに参加したりしてデザイン以外のスキルを身につけていきました。また、マーケティング専門のスタッフを採用し、社内のデザイナーにもキャッチコピーの制作や検索エンジン対策のノウハウを学んでもらっていきました。2016年からはMA(マーケティングオートメーション)を導入したホームページ制作も始めていき、デザインのクオリティーが高いだけではなく、成約率を重視したホームページを制作することで、その実績を聞きつけた企業から仕事が多数入るようになっていきました。三輪社長曰く、「右脳を生かすデザインの仕事にも、左脳を使うマーケティングのスキルが必要な時代なんです」と語っていました。クリエイティブな仕事に「売れる」というマーケティングのスキルがプラスされれば、最強の武器になるという事例の記事でした。
③まとめ
マーケティングとクリエイティブは切っても切り離せない関係になります。クリエイティブを学ぶことでデザインのクオリティーは上がりますが、それが自社のターゲットに刺さるかどうかはマーケティングを活用しないと分かりません。またマーケティングだけ学んでも、クリエイティブを学んでいなければターゲットに興味を持ってもらう広告を出すことは難しいです。独学で学ぶ際に本などから知識を得てもいいですが、セミナーを活用するのもいいと思います。弊社が毎月開催している月例マーケティング勉強会につきまして、2023年の4月以降、マーケティングとクリエイティブを学べる勉強会となっています。特にクリエイティブにつきましては熊本を代表するクリエイターを外部講師としてお招きして勉強会を開催しますので、ぜひご興味ある方は参加をお待ちしています。
2023/4/8(土)開催 勉強会のお知らせ
最後に
企業が成長するにあたり、なんのために事業を行っているか?どのようになっていきたいか?を明確にすることは重要になります。今回のコラムが参考になればなによりですが、熊本の企業が少しで成長できるように貢献していきたいと思っています。