開催概要
日時 : 2023/8/5(土) 10:30~12:30
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「あるもので戦う!冒険野郎マクガイバー的ブランディング術」
講師 : 佐藤 かつあき(株式会社かつあき)
実践マーケティング講座とは?
勉強会の2023年度の年間テーマは「クリエイティブ」、マーケティングとクリエイティブは切り離せない関係です。クリエイティブの“制作”や“運用”に関する課題解決にフォーカスして、クリエイティブを総合的に学べるカリキュラムとなります。もちろん、座学だけで終わらず、学んだことをその場でアウトプットするので、実践力が身に付きます。他の参加のアイデアを参考にできるので、実践者向けの内容となっています。
当日の内容
「あるもので戦う!冒険野郎マクガイバー的ブランディング術」
会社・商品・人、あらゆるモノの数だけブランディングはあります。そして、ブランディングの過程に正解はありません。国内外の賞を数多く受賞しているクリエイティブディレクターの佐藤さんからどのような過程でブランド構築するのかを事例・実績を織り交ぜながら学びます。
株式会社かつあき
デザインをメインに企業や商品のブランディングを担う会社。グッドデザイン賞ベスト100、ニューヨークADCなど国内外の受賞多数。
佐藤かつあきさんの実績
第56回ACC CM FESTIVAL 地域ファイナリスト入賞
グッドデザイン賞+BEST100+特別賞(復興デザイン)受賞
ロハスデザイン大賞ファイナリスト
環境省グッドライフアワード 環境アート&デザイン受賞
くまもと環境大賞
佐藤かつあきさんは上記のように多くの賞を受賞しています。特に有名なのは熊本地震で大量に発生した「ブルーシート」をトートバッグにリメイクした「ブルーシードバッグ」が有名です。今回はクリエイティブディレクターとして多くの企業のブランディングを手掛けてきた中で「ヤマチクさんとの仕事」を事例として話して頂きました。全部をこのコラムに載せることはできませんが話して頂いた、一部を紹介したいと思います。
ヤマチクさんの会社案内について
「ヤマチク」さんは仕事の100%がOEMであり、そのOEMの企業を増やしたいということから「営業のための会社案内」を作成してほしいとの依頼から「ヤマチク」さんとの仕事が始まりました。「ヤマチク」さんを見学した際に、世の中にお箸の種類が沢山あるなかで「竹のお箸」だけを取扱っているということでデザインをどうしようか悩んだと佐藤さんは話していました。
会社案内を作成するにあたりコンセプトは
「もらってうれしい会社案内」
会社案内を作成するために必要なものは
写真=嘘のないリアルな写真
テキスト=わかりやすい見出し
この2点にこだわり作成したとのことでした。写真については原料となる竹を運ぶ写真や、従業員がお箸を作っている風景や休憩中の写真を撮影されました。佐藤さんが伝えたかったのは「どういう人が作っているか」「お箸がどう作られているか」のリアルな写真を求めました。
また、テキストについて、竹のお箸だけしか作っていないというのは弱みに見えるが強みであり、その強みを活かしたテキストをわかりやすく考えました。そのテキストがこちらになります。
皆さんのこのテキストはよく目にされると思いますがシンプルでとてもわかりやすいです!!
また、こちらも佐藤さんが考えられました。「竹」を切り取り考えたシンプルでわかりやすいテキストです!!
佐藤さんはテキストのディレクションをする上で以下のことが重要と話していました。
①基本は5W1H
②構成は過去・現在・未来
③見出しを短く。簡潔に。
④意味はなくても韻を踏む。
また、佐藤さんはクリエイティブに重要なのは「針のかえし」が重要であり、「ひっかかりを作ること」と話していました。
もらってうれしい会社案内
コンセプトの「もらってうれしい会社」を考える時に「誰が誰に渡すか」を考えたとのことです。出来上がった会社案内が以下になります。
会社案内のディレクションで重要なのは「コスパとインパクトの両立」であり「ヤマチク」さんの会社案内では以下をこだわりました。
冊子ではなくバラで⇒差し替えが容易になる
カバーには印刷せずに箸のシルエットだけエンボスで⇒お箸がある驚きにフォーカス
会社も日々変化していきます。会社案内を作成した時と未来では変化していきます。最新の会社案内を更新できることは渡す方、もらう方、両方メリットがありますし、何回も作り直す必要がありません。また、会社案内をもらってお箸があったらうれしいですよね!!またびっくりすると思います!!もらう方は喜びますし、渡す方は自社の商品のPRも兼ねて話しやすくなります。佐藤さんのお話を聞いているだけで「ヤマチク」さんの会社案内がほしくなりました!!
自社ブランド化について
会社案内を作成したことでBtoB営業が加速したそうです。また、販路をBtoBからBtoCに拡大するにあたり自社ブランド化に取り組みました。
自社ブランド化で重要なのは
「看板をだす、信頼される行動をとっていくこと」と佐藤さんは話していました。
「ヤマチク」さんは、以前は自社の名前を出していませんでしたが、自社商品のブランド化のためにロゴをリニューアルしました。以下がリニューアルしたロゴになります。
工夫した点は「竹のしなりを感じるように」フォントなどを工夫したそうです。このロゴを帯にいれることで自社ブランド化に取り組みました。
ブランディングとは
自社ブランド化に取り組んだ後は、展示会出展などをして販路を拡大したそうです。また、その後プライベートブランドを開発されました。
プライベートブランドを開発する上で重要なのは会社にとって「Missionは何か?」ここが重要と佐藤さんは話していました。「ヤマチク」さんとプライベートブランドを開発するにあたり「Mission」をもとにプライベートブランド名やロゴ、テキスト、パッケージなどを考えていきました。「ただおしゃれやかっこいい」ではなく「Mission」をもとに考えることでストーリーが生まれ消費者にも共感をもってもらうことができます。
このコラムではこの話については割愛させて頂きますが、とてもわかりやすい内容で勉強になりました!!
また「ヤマチク」さんのすごいところはプロダクトデザインを外注せずに自社で考えたことがすごいと話していました。自社で考えることで社員にも「自社ブランド化がなぜ必要なのか」「プライベートブランドを開発する意味はなにか」などが浸透していきます。ブランディングを進めていく上で皆さん外部に向けた取り組みが重要と考えがちですが、従業員に本質を理解してもらうことがとても重要になります!!
ワークショップ
座学の後は、2つのワークショップを行いました。
■ワークテーマ
「身近な不用品をアップサイクルして新商品を作ろう」
■ワーク内容①
「会社ならではの不用品は何ですか?」
■ワーク内容②
「コンセプト・商品名を考えよう 」
この2つのワーク内容について1人ずつ考えてもらいました。
皆さん、最初は悩んでいましたが佐藤さんがヒントなどをくれておもしろいアイデアをいろいろ考えていました!
考えた後は全員に発表をしてもらいました。佐藤さんがうなるような内容もありとてもおもしろいアイデアがいくつもありました!!また、今回参加者は13名いましたが、皆さんのアイデアを聞くことで「こういう発想もあるんだ」など、とても視野が広がりました。ワークショップは考えた内容をシェアすることでより視野や知識が身についていきます!今回もとても勉強になるワークショップになりました‼
まとめ
最後に佐藤さんがブランディングについて「ヤマチク」さんを例に出して話して頂きました。
ブランディングをする上でMissionが最も重要です。その上でデザインは人が輝くものであり、代表だけではなく全従業員が自社のMissionを理解して仕事を行うことが重要と話していました。ブランディングは「インナーブランディングが本質」。ブランディングといえば外部に向けた取り組みばかり考えがちですが社内で自社のブランディングについて共有していくことがとても重要になります。
次回予告
次回の勉強会は、以下の通りです。
日時 : 2023/9/16(土) 10:30~12:30(開場10:15)
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「顧客の行動と心理を“見える化”できるワークショップ」
講師 : 溝口 敏博(株式会社熊本マーケティング研究所)