コラム

Column

マーケティングフレームワーク①SWOT分析

はじめに

はじめまして、KML新入社員の宮﨑です!
先週コラム投稿をした秋吉と同じく8月から熊本マーケティング研究所に入社いたしました。出身は熊本で、新卒から福岡で仕事をして約3年半ぶりに熊本の地に帰って参りました。おいしい物が大好きな私にとっては福岡も良かったですが、やっぱり熊本の食べ物ってクオリティが高いなぁ、と改めて思ったこの1か月でした(しみじみ)。

そんな私が書くコラムですが、マーケティングフレームワークについてです。僅かでも皆様の役に立つ情報が発信できたらいいなというのと、私自身の勉強も兼ねて頑張って書いて参ります!

 

商売道具

突然ですが「商売道具」と聞いて何を思い浮かべますか?
大工さんなら、金槌(カナヅチ)・釘・鉋(カンナ)、美容師さんならハサミ、櫛(クシ)あたりでしょうか。皆様もそれぞれご自身にとっての商売道具があるかと思います。

では、我々マーケターにとっての商売道具といえば何だと思われますか?
マーケターって何を持っているでしょう 「パソコンにペンと紙それから・・・」

私はこう思うんです、ずばりマーケターにとっての商売道具、それはフレームワークなのではないかと!
(ブログカテゴリーで既にネタバレでしたね・・・)

なんでそう思ったのかという話ですが、私の父はフレンチのシェフで、父にとっての商売道具は包丁、フライパンなど調理道具でしょう。その道具について私はこんなことをよく聞かされました。
「道具は常に使いやすいとこに置いておけ。」
「終わったらいつでもまた使えるように手入れしとけ。」
小さい頃から父の仕事を見てきましたが、本当に道具の手入れは欠かしませんでしたし、道具の配置を決めて無駄のない動きで調理をする父の姿を思い出しました。そう考えるとマーケターにとってのフレームワークも同じようなもので、常に頭の引き出しに入れておいて、ヒアリング、戦略戦術を考える際にはすぐ使えるように普段からトレーニングしておくものだよなあと思ったわけです。(調理道具もフレームワークも長い間ほったらかしにしていると使えなくなりますしね)

そんなマーケターの商売道具「マーケティングフレームワーク」についてこれから書いていきますので、マーケターの頭の中を少し覗いてみるつもりでお付き合いいただけると嬉しいです。

 

フレームワークとは

まずは、マーケティングフレームワークの説明の前にマーケティング活動の一連の流れからご説明します。その一連の流れはマーケティングプロセスと呼ばれ、世の中の流れや自社の置かれている環境、市場の動向、自社のことなどを分析する環境分析、環境分析をもとにターゲットや自社の取るべきポジショニングなどを決める基本戦略の立案、そして基本戦略を具体的な製品、サービス、販売活動に落とし込み実施する具体的施策の立案実施のフェーズに分かれます。

このマーケティングプロセスを実行する上で分析や分析結果から仮説を導くこと、仮説をもとに戦略を立案するといった思考プロセスをスムーズに行うためのツールがマーケティングフレームワークです。

そしてマーケティングフレームワークはたくさんの種類が存在し、消費行動の変化やテクノロジーの発達など時代の流れとともに日々新しいものが開発されています。そんなフレームワークですがそれぞれの性質によりマーケティングプロセスの環境分析フェーズ、基本戦略立案フェーズ、具体的施策の立案実施を行うフェーズ、とマーケティング活動が変化していくにつれ最適なものも変化していきます。その中から本コラムでは代表的なものからご紹介していこうと思います。

 

熊本マーケティング研究所ではフレームワークなどを含め、皆様のビジネスのお役に立つマーケティングについての勉強会を月一回行っております。過去の勉強会はこちら。
https://www.kumamoto-marketing.co.jp/column/category/seminar/seminar-news/

 

SWOT分析

マーケティングフレームワークの第1回コラムでは何を書くべきか悩みましたが、まずは超有名なSWOT分析(スウォット)について書くことにしました。マーケティングを学び初めると、必ず登場すると言っていいフレームワークです。私も学生の頃初めてマーケティングの講義で触れたのがこのフレームワークだったと思います。

SWOT分析がどんなものかといいますと「今の組織・個人・事業が置かれている環境を分析するフレームワーク」です。「企業が今どんな状況に置かれているのか?」「商品やサービスのどこが強みで、どこが弱みなのか?」「世の中の流れに自社にとっての好材料はあるか?逆に危うい材料はあるか?」などを調べることができます。このSWOT分析を行うことで自社の環境を分析し、その後、環境分析の結果から戦略を導き出すことができます。

SWOT分析は S:Strengths(強み)W:Weaknesses(弱み) O:Opportunities(機会)T:Threats(脅威)の頭文字を取ったものになり、分析したいものを内部外部環境に切り分けてそれぞれの要素に当てはまるものを洗い出していく分析手法になります。

Strengths(強み):
組織や個人、自社製品の長所や得意とすることです。例えば優れた技術力、ブランド力、優秀な人材、特許などの特殊な競争力の源泉などです。

Weaknesses(弱み):
組織や個人、自社製品の短所や苦手とすることです。悪影響を及ぼすと考えられる内部環境のマイナス要素のことで、組織・個人のスキル不足、リソースの不足、業務効率の悪さ、競争力の低さなどが該当します。

Opportunities(機会):
社会や市場の変化などにより、自社や自社商品にとっていい影響を与えると考えられることです。チャンスと言い換えてもいいかと思います。

Ttreats(脅威):
社会や市場の変化などにより、自社や自社商品にとってマイナスに働くと考えられることです。

SWOT分析は2by2マトリックスで表現しますので図解すると以下の通りです。

 

SWOT分析をやってみよう

実際に緑と青のコンビニ(以降コンビニF)を例にSWOT分析を行います。分析をする上で大事なのが目的を明確にすることです。分析から何を得たいのか、何のために分析するのか明確にしてから分析を行っていきましょう。今回はコンビニFの利用者拡大を目的にSWOT分析を行っていきます。

ネットの情報をもとに簡単にではありますが、コンビニFのSWOTを洗い出しました。実際はもっと詳しく分析していくのですが、本コラムではあくまでSWOT分析がどんなものかイメージしていただくために作成しております。

強み
・サウンドロゴのから企業名への想起率の高さ(あなたと、コンビに♪)
・サウンドロゴ好感度の高さ
・ペルソナごとの製品開発とコミュニケーション設計
・地域密着の戦略
・店内音声広告
・無人レジと無人店舗への取り組み

弱み
・好きなコンビニランキングで1位に大きく離されている
・プライベートブランドの人気がイマイチ(弁当)
・店舗選択の優先度が大手2社より劣っている
・1店舗あたりの1日売上がコンビニSに大きく離されている

機会
・プレミアム消費の高まり
・中高年層のコンビニ利用の増加
・健康意識の高まり
・WEB・SNSの広がり
・サスティナブル意識の高まり(地域活性などの側面)

脅威
・燃料価格高騰による配送コストの増加
・他業界からの新規参入
・ネット販売の普及
・コンビニの飽和
・働き方改革による業界イメージの悪化
・消費者の節約志向
・サスティナブル意識の高まり(フードロスやプラごみの問題)

このようにコンビニFのSWOT分析を行い状況の整理を行いました。次にSWOT分析の結果を基にクロスSWOT分析を行って戦略を導き出していきます。

 

クロスSWOT分析

クロスSWOT分析はSWOT分析で洗い出した4つの要素を組み合わせることで戦略を導き出すフレームワークです。その組み合わせですが以下のように表現されます。

SO戦略(強み×機会):
強みと機会の組み合わせで、機会を最大限生かす戦略、更なる競争優位性の獲得や新たなビジネスチャンス創造を考えていきます。

WO戦略(弱み×機会):
弱みと機会の組み合わせで、自社の弱みを打ち消す方法や機会を取り逃がさないよう自社の弱みの克服を考えます。

ST戦略(強み×脅威):
強みを使って差別化など脅威への対応策を考えます。

WT戦略(弱み×脅威):
弱みに脅威が追い打ちをかけたことによる被害を最小限に抑える方法、場合によっては撤退することなどを考えていきます。

 

コンビニFのクロスSWOT分析

先ほどのSWOT分析の結果から、私が導き出した戦略が以下の通りです。

SO戦略(強み×機会):
・地元食材や地元企業とコラボした地域限定商品の開発でプレミアム消費やお土産市場の消費者を獲得していく
・中高年層に向けた製品開発強化(健康志向のお弁当開発など)
・サウンドロゴのWEB・SNS広告への活用で若者からの支持獲得

ST戦略(強み×脅威):
・地元の規格外野菜などの活用でサスティナビリティ対応しコスト削減にも取り組む
・ペルソナごとの商品コミュニケーション設計を強化し他のコンビニ、新規参入との差別化を図る
・無人レジ・無人店の展開拡大により人に頼らない店舗運営を強化する

WO戦略(弱み×機会):
・プレミアムブランドや健康志向プライベートブランドの展開強化でブランドの人気を向上

WT戦略(弱み×脅威):
・働く人材や利用客のカニバリを起こしている店舗の閉店か無人店への移行を検討

このようにSWOT分析から戦略を導けたら、すべての戦略ができるわけではないので目的に対して効果的と思えるものに絞って、具体的な施策に落とし込んでいくことでマーケティングプロセスを実行していきます。

 

おわりに

SWOT分析には注意点がいくつか存在しています。1つ取り上げますと、強みだと思っていたものが全くユーザーには認知されていなかったり、逆に弱みだと思っていたことがユーザーからの愛着を集めていたりと、自分と他人や社内の人とユーザーで認識がずれている場合があります。どうしても何を「強み」「弱み」とするのか「機会」「脅威」とするのかは分析者の主観が含まれます。なので、SWOT分析を行う際は数人で行ったり第三者目線を入れたりとチームを作って取り組むことが分析の質を上げ、インサイトを得るのに効果的と言えると思います。

 

「マーケティング活動を進めるチームを作りたい」「マーケティングに力を入れていきたい」そうお考えの方に、熊本マーケティング研究所では、伴走者として専門知識を持ったマーケターがマーケティング面をサポートするLaboutというサービスを提供しております。時には貴社の一員として一緒に考え、時にはユーザー側としての意見をお伝えし、一緒にゴールを目指していく伴走型マーケティングサービスです。

Labout https://www.kumamoto-marketing.co.jp/business/management/

 

初めてコラムを書いてみましたが、とんでもなく時間を使ってしまいました(汗)。「説明ってこれでいいか?」と不安になりつつ険しい顔をしながら何とか書き上げましたが、思った以上にコラムって大変だなあと感じています。また頑張って書きますので、読んでいただけると嬉しいです。