開催概要
日時 : 2023/10/14(土) 10:30~12:30
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「整理整頓から始まるブランド設計」
講師 : 冨山 康公(冨山事務所株式会社 代表取締役/プロジェクトマネージャー)
実践マーケティング講座とは?
勉強会の2023年度の年間テーマは「クリエイティブ」、マーケティングとクリエイティブは切り離せない関係です。クリエイティブの“制作”や“運用”に関する課題解決にフォーカスして、クリエイティブを総合的に学べるカリキュラムとなります。もちろん、座学だけで終わらず、学んだことをその場でアウトプットするので、実践力が身に付きます。他の参加のアイデアを参考にできるので、実践者向けの内容となっています。
当日の内容
「整理整頓から始まるブランド設計」
ブランド設計、ブランディングという言葉は現在幅広く認知されている言葉ですが、考えると難しくなりがちなブランディングという行為を「整理整頓」というワードを元に冨山事務所の事例を織り交ぜながら、もっと捉えやすく行えるように学んでいきました。
冨山事務所株式会社
企業コマーシャルから商業施設や複合施設等のブランディングやプロジェクトマネジメントなど、平面から立体まで幅広い分野での実績を持つ会社。
冨山 康公さんの実績
PIZZA YANKEE
商工クラブ
その他多数
冨山さんは、上記の実績でありますように、熊本で話題になっている店舗や施設のブランド設計に多く携わってきています。上記以外にも、皆さんが知っている店舗や施設のブランド設計を手掛けているのでぜひHPを見て下さい。今回の勉強会では、ブランド設計について実例を交えながら分かりやすく話して頂きました!実際なかなか見れない資料を見せて頂きとても勉強になりました。このコラムではその一部を紹介していきたいと思います。
ブランド設計に際してまず「整理整頓する項目」とは?
上記の表題にあるように、冨山事務所がまず「整理整頓する項目」について教えて頂きました。大きく10項目あり、全部を今回のコラムで公開することは出来ませんが、一部を公開したいと思います。
<基本整理>
①コンセプト
②ターゲット層
③意匠方向性
④スケール
整理整頓する基本項目について上記の4つを教えて頂いた後、各項目について細かく話して頂きました。
コンセプトについて
コンセプトを考える上で、「何が売りで」で「何を伝えたい」のか、「どう売って」「どう伝わりたい」のか、それをするためにはどうするのかを考える必要があります。
その上で重要なのが
「ストーリーの構築」
上記を構築することで、プロジェクトの指針や目的、ゴールなどを構築し、プロジェクトに関わる人たちが共有できるストーリーを作りあげることで意思疎通がとれます。ブランド作りの設計図面の根幹となると冨山さんは言われていました。
ターゲット層について
どの属性を捕まえたいのか、「捕まえにいく」のか、「捕まりにこらせる」のか、そのためにはどうするのかを考えます。最初の段階で、広告を活用するかしないかを考える必要があります。
「捕まえにいく」……チラシやSNS広告などを広告を多く打つ
「捕まりにこらせる」…プロダクト設計段階で魅力的なものにすることで広告を打たないでいいようにする
冨山さんがターゲット層を考える時に徹底していることは
「TTF」(徹底的にフィールドワーク)
近しい属性をターゲットにしている施設やプロジェクトを徹底的に見て回ることで、ニーズや動向を肌で感じたことを解釈して、構築することで、ターゲット層が魅力的に感じる効果的なものが何かを考えていきます。冨山さんはフィールドワークを行う時は、時間帯を変えながら何日も通い、どういう年代、性別、家族層が、どの時間で利用しているかなどを徹底的に観察するそうです。
意匠方向性について
どのように見せたいのか、「個性」を出すのか、「普遍的」に収めるのか、そのためにはどうするのか考えます。コンセプト、ターゲット層で考えたことを基に考えることが重要です。
「個性」を出す…目立たせる、要は「捕まりにこらせる」⇒イニシャルコストをかける
「普遍的」に収める…目立たせない、要は「捕まえにいく」⇒ランニングコストをかける
冨山さんがこの段階で徹底していることは
「考える」
コンセプト、ターゲット層を段階的に整理した条件を元に数日間~数週間、徹底的に考えるそうです。ここで見えた道筋が、ありとあらゆる場所やツールに展開されていくこととなるため、強度と機能性の両面から精度の高いものを考えます。ここで初めて感覚的な要素が必要となってくるとのことで、いわゆる”右脳的”な作業はここに集約していくことになると冨山さんは言われていました。
スケールについて
どれくらいの規模感になるのか、何から何までを「クリエイション」する必要があるのか、そのためにはどうするのか考える必要があります。ここで重要なのは、予算がいくらあるかになります。後からこの制作物も必要だったとなっても、予算がなくて出来ないということにならないように、制作物のゴールを決める必要があります。
「クリエイション」する…どこまで制作物を作るのかを最初におさえておく
冨山さんがこの段階で徹底していることは
「頭の中で5回ローンチさせてみる」
コンセプト、ターゲット層、意匠方向性で見えてきた方向を、先回りでローンチさせる。
1回目では、まず必要であるものを全部並べてローンチ
2回目では、そこに足りないものを追加してローンチ
3回目で、本当にいるかわからないものを減らしてローンチ
4回目で、お客さんが利用している姿を見るためにローンチ
5回目で、不備がなければ実際クリエイションに進む
冨山さん曰く「ここの精度を確保し、共有することで、ローンチ後の軌道修正いわゆるPDCAも回しやすくなり、持続的にブランドを継続していくことが可能となる」と言われていました。
クオリティーの差をつけるためには何が必要であるか
冨山さんはクオリティーの差をつけるためには
「知識」と「センス磨き」
この2点が必要と言われており、どうやって「センス磨き」をするかは以下の事を教えてくれました。
①気になる人や会ってみたいと思う人に自ら会いにいく
②気になる場所や行ってみたいと思う場所には積極的にいく
⇒①、②については冨山さん自身、東南アジアに興味を持ち、気になる場所を訪れたり、気になる人に会ったことで、東南アジアからの仕事の依頼が来た時に役にたったそうです。
③何か1つでも常人離れした文化的知識を身に付ける
⇒冨山さん自身は音楽にあたるそうです。
④ひとりの時間を有効的に使えるようにする(群れない)
⇒群れないことが特に大事とのことです。
⑤美味しいごはん
⇒美味しいごはんを食べることは大事であり、特に美味しいごはんを作る人は面白い人が多く興味を持つことは重要とのことです。
上記の項目はビジネススキルにも通じる話であり参加者全員が納得されていました!
ワークショップ
座学の後は、ワークショップを行いました。
■ワークテーマ
「架空で設定された整理条件を元に、あなたが考えるネーミングとロゴでブランドをつくってみましょう。」
冨山さんがあるラーメン店を例えにして、「コンセプト」「ターゲット」「意匠方向性」「スケール」について設定して頂き考えてもらいました。
ワーク内容については個人で考えてもらい、考えた内容を個人事に冨山さんからフィートバックをもらいました!冨山さんから直接フィートバックをもらう機会などなかなかないので、参加者全員がとても満足されていました!
まとめ
冨山さんのブランド作りのアプローチは感覚的なものではなく、理論的なものだと感じました。基本整理から始まり、徹底的に考え、最後にエモーショナルな感覚が必要となるとのことでした。
冨山さんから最後に考え方や姿勢を教えてもらいました。以下に記載します。
「整理整頓とロジックを用いてブランド設計は行われる。上質なクリエイティブが生まれるも生まれないもこの「土台」の強度次第と冨山事務所は考え課題解決に取り組んでいます。「アートではなくデザイン」これが私たちの仕事に取り組む姿勢です。」
とても重要な言葉を頂きました!
今回の勉強会では、実際のブランド設計で、活用した基本整理の実例も見せて頂き、とても勉強になる内容でした。また冨山さんのお話を聞ける講演はなかなかなく、本当に貴重な勉強会となりました。
最後に
弊社の「月例勉強会」に10回参加して頂くと、認定マーケターとして認定証をお渡ししています。今回、認定マーケターが1名新たに誕生しました!継続的にマーケティングを学ぶことで、仕事に活かせる知識が身についていきます。ぜひマーケティングを継続的に学んでいきましょう!
代表の目がつぶっていました……
次回予告
次回の勉強会は、以下の通りです。
日時 : 2023/11/18(土) 10:30~12:30(開場10:15)
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「感情を掴む!効果的なペルソナの作り方‼」
講師 : 髙宗 将(株式会社熊本マーケティング研究所)