コラム

Column

今月の一冊④『P&G流マーケティングの教科書』

みなさん、こんにちは。

今日は12月25日。メリークリスマスですね。

小3の娘に感づかれ始めている気もしますが、無事サンタの役目を果たしてきました、アキヨシです。

 

ちなみに小1の息子は、サンタさんにこんなものを準備していました。

 

小1男子の思考はわかりません🤣笑笑

 

 

・・・はい。というわけで、タイトルにある通り、今回取り上げるのはこちら

『【1時間でわかる】P&G流マーケティングの教科書』

えーーと、「今月の一冊」と言いながら、今回は書籍ではなく、文章をメインとした記事コンテンツのプラットフォームである「note」から取り上げます。

決して本を読むのをサボったわけではなく、以前Youtubeで本記事の動画版を観て、ちゃんと読みたいと思っていましたので、良しとしてくださいね。

 

 

P&Gで受け継がれているマーケティングの思考法

筆者は、大手・中小企業のマーケティング支援を行う、株式会社MD代表の石井賢介さん。

P&Gのマーケティング本部にて、「ファブリーズ」「ジョイ」などのホームケアのブランドマネジメントを担当し、ファブリーズのブランドマネージャー時代には、ブランドレコードとなる売上を達成されています。

 

本記事は、P&Gに転職したての石井さんが、「マーケティングの世界には教科書みたいなものがないのかなー」と悩み苦しんでいた自分を思い描いて書かれたとのこと。

「P&Gで非言語的に受け継がれているマーケティングの思考法」を、わかりやすい教科書のようにまとめたものとなっています。

(とは言っても、私にとっては非常にレベルの高い教科書でしたけどね!!)

 

本記事の目次は以下の通り。

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1.優れたブランドに共通するたった一つの秘密とは?

2.戦略の重要性を理解せよ!

3.戦略の基本型を把握せよ!

4.WHO(フー)ではなく、“不(フ)”が大事!

5.ブランドは何を(WHAT)売っているのか?POD編

6.ブランドは何を(WHAT)売っているのか?コミュニケーション編

7.冷静に計画し、情熱的な実行(HOW)で勝つ!

8.最後に 僕はマーケティングを進化させたい!

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【1時間でわかる】とされていますが、なかなかのボリュームでしたので、今回は上記の中でも「優れたブランドの秘密」「WHOではなく“不”」の2点に絞ってご紹介いたします。

 

 

1.優れたブランドに共通する秘密

私たちは、当然のように毎日多くの商品・サービスを購入しています。

コンビニでコーヒーを買い、昼には最寄りのパン屋さんのパンを食べ、帰宅後にはプライムビデオで映画を見る。そして対価として、お金を支払って購入する。

 

日々何気なく購入しているもの、生活に溶け込んでいるもの=優れたブランドとした際、私たちは何をもってそのブランドを優れていると感じ、見合った対価として惜しむことなくお金を投じているのか。

 

その秘密は、「優れたブランドは、もれなく顧客の“Job(片付けるべき仕事)”を解決している」ということです。

ここでいうJobとは、前回のコラム『ドリルを売るには穴を売れ』での「ベネフィット=顧客にとっての価値」とも言えます。

都市部のサラリーマンがお昼に吉野家の牛丼を食べるのは、短い休み時間で、かつ限られたお小遣いでも、がっつり空腹を満たしたいからです。そしてこのJobを満たしうる選択肢としては、立ち食いソバやコンビニ弁当、ビッグサイズのカップラーメンなども入ってきます。

 

世の中で優れていると思うブランドと、それが解決しているJobを考えると、実は、そう簡単には思いつきません。Jobは簡単には見つからないのです。

ブランドを成長させたり、ヒット商品を生み出すことは容易ではなく、毎年、何十万という新商品が出されても記憶に残らず消えていってしまうのは、明確なJobの理解がないままに商品開発をしてしまっているから、というケースがほとんどです。

 

石井さんは、この「Jobの発見と解決に至る一連のプロセス」を、マーケティングと定義付けています。

そして、ウェブやSNS等での具体的なマーケティング施策は、あくまでHOW(どのように)の話で、そもそも何を作るのか(WHAT)、誰に売るのか(WHO)、戦略は何なのか、といった、より上位の概念を作ること、人間にしかできない0→1の部分にこそ、価値の源泉がある、と述べています。

 

 

2.WHO(フー)ではなく、”不(フ)”が大事!

今出てきたWWH「WHO(誰に)・WHAT(何を)・HOW(どのように)」は、P&Gで使われるフレームワークで最も有名なものだそうです。

WHOから思考をスタートすることで、WHATとHOWが整理されていく、という考え方です。

うんうん。すべて顧客視点、顧客の立場に立つことから始める、ということですね。

 

典型的なWHOの設定として、例が挙げれらています。

 

ふむふむ。これはユーザーに対する理解をより深くする「ペルソナ」の設定ですよね。特に悪い感じはしないかなーと思いましたが、これだけでは不完全だそうです。

 

その理由は、このWHO設定は、「Who is her?」にしか答えておらず、肝心要の「What is her job?」に答えていないから

石井さんは冗談ぽく、「大事なことはWHO(フー)を理解することではなく、“不(フ)”を理解することだ」と言っているそうです。

不とは、不経済・不便・不都合・不満・不安、など人が解消したいと感じる課題のことで、“不”の解消こそが事業の本質であり、そのために顧客は喜んでお金を払う。

これが、冒頭の

優れたブランドは、もれなく顧客の“Job(片付けるべき仕事)”を解決している

ということとつながっているんですね。

つまり、=“Job”と言えます。

 

上記の例では、顧客に子どもが何人いるかは究極的にはどうでもよくて、子どもがたくさんいる親が必然的に抱えてしまう“不”=“Job”こそが、理解しなければならないことなのです。

これが顧客視点、顧客の立場に立つということですね。

 

衣料用洗剤の例を自分事として考えると、

「気づかないうちに洗剤のストックを切らしてしまい、洗濯時にそれに気づく」

という不=Jobがあるかなぁ。

この不がわかると、例えば

・容器を透明にして、視覚的に残量をわかりやすくする

・パッケージに定期便の案内を載せる

などの施策が浮かんでくるかもしれませんね。

 

顧客の行動を理解する

商品・サービスや自社の内部事情を分かっているが故に、売り手は顧客感覚から遠いところにいる存在となってしまうことがあります。

自身が持っている「顧客はこうあるはずだ」といった思い込みや、「顧客にこうあってほしい」という願望でプロジェクトを進めてしまうと、結果として顧客のJobの解決から遠く離れた商品・サービスとなってしまいます。

だからこそ、Jobは顧客との徹底的な会話の中で発見される必要がある、とされています。

顧客との会話に関して理解しておかなければならないのは、「顧客が自らの抱えている真のJobを正しく語ることはまずない」ということ。

 

有名な例として挙げられるのは、サラダマックです。

マクドナルドの店頭アンケートでもっとも寄せられるコメントは、「ヘルシーなサラダメニューが欲しい」というものだったそうです。

その声にこたえるべく、マクドナルドはサラダマックというメニューを開発して販売しましたが、全く売れることがなく、結果としてすぐにサラダマックは廃盤となりました。

 

ここから学ぶべき2つのポイントがあります。

1つ目は、「消費者はロジカルに意思決定を行っているわけではない」ということ。

自分のことを考えればわかりやすいと思いますが、人は毎日途方もない数の意思決定を行っており、95%の意思決定は、考えずとも自動で判断されるようにできています。

これを脳のオートパイロット機能と呼ぶそうです。

 

しかし、アンケートやリサーチをするときは、消費者はロジカルモードになっています

普段はマクドナルドでヘルシーなものが欲しいなどとは思っていない(そもそもマクドナルドに来ていない)にもかかわらず、いざアンケートで聞かれると、うーーーんと考えた結果、理論的に正しそうな答えを出してしまう、ということです。

 

2つ目は、消費者が自力で思いつけそうな顕在化しているJobは、ほとんどこの世に残されていない、ということ。

例えば、100年前、特に都市部においては「安全な飲み水を確保すること」というのは多くの人にとって重要なJobだったかもしれません。しかし現在では、安全な飲み水を確保するというJobは完全にクリアされ、その領域に参戦するのは困難となっています。

消費者が自ら語れるJob=誰でも簡単にわかることは、もはや残されていないと思った方が賢明で、もし消費者が簡単に口にすることができたならば、それはその場で作られた、ロジカルな“Jobもどき”であることを疑った方が良いかもしれません。

 

実際に取った行動に対して質問する

では消費者との会話はどのようにすればよいのか。

それは、消費者にダイレクトにJobを聞くのではなく、実際に取った行動に対して質問をし、Jobの仮説を立てる、ということが有効だとされています。

 

例えば、石井さんが担当していた台所用洗剤「ジョイ」の消費者調査。

利用者の家庭に訪問し、色々見る中で気になった風景があったそうです。

それは、台所シンクの中で、排水口が外されて外に出されていた光景でした。何気ない風景ですが、直感的に通常と異なることに違和感を覚え、なぜこれをやっているのかを聞くと、

「夏は特に排水口が濡れていると菌が繁殖するから臭くなる。だから毎日洗った後にその外に出して乾燥させるようにしている」

と教えてくれたそうです。

そこから菌対策で他に行っていることを聞いてみると、1ヶ月に一度は漂白剤できれいにしているとのこと。逆になぜ毎日漂白剤を使わないのかを尋ねると、

「なんとなく手間もあるし、漂白剤は強すぎるため、毎日使うのは肌・健康に悪いイメージがある」という懸念が強いことが分かったそうです。

 

この、「排水口をシンクの中に出している」という顧客の行動への深掘りから、最終的には「本当は毎日漂白剤を使って排水口を除菌したいけど、漂白剤は強すぎて抵抗がある」という消費者の本音(インサイト)を掘り出すことができ、結果「除菌もできるジョイ」が開発されました。

消費者のJobは「ちゃんと排水口を除菌出来て、それでいて安心して毎日使える」だったのです。

 

この“不”=Jobに対して、実際に解決案としてブランドが何を(WHAT)提供できるのか、どのように(HOW)提供していくのかについては、ボリューム的に書けませんでしたので、ぜひ実際にnote P&G流マーケティングの教科書をお読みいただければと思います。

 

 

ということで今回のコラムは以上となりますが、

WHO(フー)ではなく、”不(フ)”が大事!

ということが頭に残っていただければ嬉しいです!

 

そして、2024年の月例勉強会のテーマは【ブランディング】に決定し、1/20(土)、新年1発目の勉強会は弊社代表から「マーケティング会社ならではのブランディングの手法」について、ワークショップを中心に学んでいく内容となりました。

2024/1/20(土)開催 勉強会のお知らせ

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