令和5年度補正予算及び令和6年度当初予算案の閣議決定
2023年12月22日に令和5年度補正予算及び令和6年度当初予算案が閣議決定しました。それらについて、経済産業省・中小企業庁のwebサイトで関連資料を公表されています。2024年に入ってすぐ(おそらく2月から3月にかけて)、補助金の公募が開始されると予想されますので、どこよりも早く2024年の補助金の傾向を解説していきます。
経済産業省
まずは経済産業省が発表した内容を見ていきます。
Ⅰ.世界をリードする先端分野への投資促進
Ⅱ.イノベーションの推進
Ⅲ.構造的課題への対応
Ⅳ.有志国連携による産業政策・経済安全保障
Ⅴ.福島復興の更なる加速
の5つの柱からなっており、令和5年度補正予算額4兆5,109億円+令和6年度当初予算1兆9,072億円、合計で6兆4,181億円の予算となっています。
詳細を見ていくと「GXの実現とエネルギー安定供給の確保(1兆6,148億円)」が最も多く予算配分され、グリーンエネルギーへの転換による社会システムの変革に国を挙げて取り組む姿勢が見て取れます。
また「デジタル社会の実現・生成 AIへの対応(1兆4,462億円)」も同程度の予算が割り当てられており、技術革新が著しいDXや生成AIをさらに加速させる動きになっています。
また「物価高への対応(8,025億円)」、「人手不足への対応、賃上げ、人への投資(4,279億円)」、「地域の中堅、中小企業・小規模事業者の発展、投資環境の整備(1,975億円)」、「スタートアップ育成・新陳代謝の促進(1,915億円)」などは多くの事業者が関係する分野になるのではと思われます。
さらに事業ごとに細かく見ていくと、活用しやすい補助事業も多く見られますので、少しだけご紹介します。
>> 令和5年度補正予算・令和6年度当初予算案の概要(経済産業省)
中小企業庁
次に中小企業庁の発表内容を見ていきます。
基本的な内容としては
⚫ 物価高や、構造的な人手不足等、厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者に対する価格転嫁対策や資金繰り支援、省力化投資支援等に万全を期す。
⚫ さらに、GX/DX等といった産業構造転換の中、中小企業・小規模事業者の成長に向けた取組を予算・税等の政策手段を総動員して支援。これらを通じ、持続的な賃上げにつなげる。
⚫ また、事業承継、社会課題解決、工業用水道の整備の支援等を通じて地域経済の活性化を図る。
が課題認識と対応の方向性になっています。
予算額としても令和5年度補正予算1,090億円+令和6年度当初予算6,502億円、合計で7,592億円の予算となっています。
その中でも中小企業・小規模事業者が使いやすい補助金についてご案内いたします。
令和5年に引き続き「ものづくり・商業・サービス補助⾦」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」の4つの補助事業は継続して募集されることになっています。ただし、細かい部分の変更や新設枠もありますので、それぞれみていきましょう。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の変更点
省力化(オーダーメイド)枠の新設
中小企業・小規模事業者が人手不足の解消等を目的とした、生産プロセス等の省力化の取り組みを進めるため、個々の事業者のビジネスプロセスに応じたオーダーメイド型の省力化投資等を補助上限額を大幅に引き上げて支援します。
製品・サービス高付加価値化枠の新設等
・中小企業・小規模事業者が、付加価値の高い革新的な製品・サービスの開発に取り組むために必要な設備投資等を支援します。
・今後成長が見込まれる分野(DX ・ GX )は成長分野進出類型とし、通常類型よりも 補助上限額・補助率において重点支援となります。
・コロナからの回復を図りつつ、最低賃金の引き上げにも取り組む事業者を通常類型よりも補助率が引き上がります。
・グローバル枠については、引き続き、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備投資等を支援します。
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例の拡充
・持続的な賃上げを実現するため、大幅な賃上げに取り組む事業者について、補助上限額が引き上げられます (新型コロナ回復加速化特例適用事業者を除く)。
・省力化(オーダーメイド)枠においては、上乗せ額を拡充し、最大2,000万円まで補助上限を引き上げられます 。
その他
・交付候補者決定前において、一定の投資規模の事業計画に取り組む事業者に対して、口頭審査が導入されます。
・令和5年度補正予算を基に行う公募の補助事業実施期間は令和6年12月10日まで(令和6年12月10日までに実績報告まで完了する必要があります。延長はできません)。
・厚労省の産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース) との連携。
小規模事業者持続化補助金
小規規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援するため費用の一部を支援する「小規模事業者持続化補助金」も毎年継続して募集されている大人気の補助金です。ほとんどの部分においてこれまでと同様の内容になっています。
ただし、1カ所大きく変更されている部分があります。それは”賃金引上げ枠での場内最低賃金引上げ額を地域別最低賃金よりプラス50円以上”とすることとなっています。これまでは地域別最低賃金よりもプラス30円以上だった条件が変更されています。
IT導入補助金
IT導入補助金も大人気の補助金です。これまで変化した点はデジタル化基盤導入枠がなくなり、新たに「インボイス枠」ができています。また小規模事業者は最大で4/5補助と、自己負担が大きく減少しています。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継やM&A後の経営革新を支援する「事業承継・引継ぎ補助金」です。
設備投資や販路開拓に係る費用も対象経費となっていますので、この補助金も非常に使い勝手がよい補助金と言えます。弊社も最近よく事業承継の相談を受けますが、「事業承継・引継ぎ補助金」をお勧めしています。
事業再構築補助金改め「中小企業省力化投資補助制度」
2021年から公募が開始された超大型補助金の事業再構築補助金は再編され「中小企業省力化投資補助制度」となり、令和5年度補正予算で1,000億円が計上されています。人手不足に悩む中小企業等のため、省力化投資に関して、カタログから選ぶような汎用製品の導入への簡易で即効性ある支援となっているようです。
また「中堅・中小大規模成長投資補助金」として国庫債務負担含め3,000億円も大規模な設備投資を促進する補助金として新設されていますので注目の補助金ではないでしょうか。
>> 令和5年度補正予算・令和6年度当初予算案関連情報(中小企業庁)
補助金を活用するなら
2024年も多くの補助金が準備されており、中小企業・小規模事業者の前向きな活動を支援してくれる仕組みとなっています。補助金はだれでも申請はできますが、目的に合わせた事業計画書を作成しなければ採択されません。また補助金を申請してもすぐに使えず、採択されてから実施するスケジュールになっていますのでしっかりと準備した上で計画的に活用していくことをおすすめしています。
また、弊社ではIT導入補助金・小規模事業者持続化補助金・ものづくり補助金以外にも、多くの補助金情報を収集しておりますので、事業者様に合わせた補助金のご提案も可能です。
お困りごとを解決するのに、適切な補助金がある可能性が高いです。
補助金を活用されたい方は、お気軽にお問い合わせください。