そもそも4P分析とは?
4P分析とは、自社商品・サービスについて分析するための、マーケティングのフレームワークです。
4P分析では、自社商品・サービスの「Product(商品)」、「Place(流通)」、「Price(価格)」、「Promotion(販売促進)」について分析していきます。それぞれの頭文字をとって、「4P分析」と呼ばれています。
この記事では、4P分析の「Promotion(プロモーション)」に焦点を絞ってご紹介していきます。
4P分析の全体像について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>4P分析(4C分析)とは?自社商品のベネフィットから販促方法まで分析するフレームワーク | 熊本マーケティング研究所
また、4P分析のその他のPについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>4P分析を徹底解説!最重要な「Product(製品)」の戦略や開発事例 | 熊本マーケティング研究所
>>4P分析を徹底解説!販売価格に影響する「Place(流通チャネル)」の戦略や事例 | 熊本マーケティング研究所
>>4P分析を徹底解説!販売価格を決める「Price(価格)」の戦略や事例 | 熊本マーケティング研究所
4P分析の「Promotion(プロモーション)」とは?
4P分析の「Promotion(プロモーション)」では、自社商品・サービスを「どう広めていくか」について分析します。お客様・消費者目線で言うと、「顧客とどうコミュニケーションを取っていくか」になります。
プロモーション=広告とPR(Public Relations)
プロモーションは、「広告」と「PR(Public Relations)」に分けることができます。
ともに企業の製品・サービスを広めていくための手段ですが、「広告」と「PR(Public Relations)」には以下のような違いがあります。
●広告
テレビや新聞、インターネットなどのメディア・媒体を通じて、製品・サービスの情報を有料で掲載・放送し宣伝することを指します。
●PR(Public Relations)
企業や組織が、一般消費者や顧客、ステークホルダーに対して自身の情報を発信し、良好な関係を築くことを目的とした活動のことを指します。
プロモーションは、上記の広告とPRの2つを上手に組み合わせながら行っていくのが一般的です。
消費者にとってはコミュニケーション
企業のプロモーションは、消費者にとっては「コミュニケーション」になります。そして、企業と消費者のコミュニケーションは、基本的に受け手が主体となります。
たとえば、企業が「どう伝えるか」を真剣に考え、テレビCMを流してプロモーションを行ったとしても、消費者にとって「不快」と受け取られる場合もあります。
つまり、企業の想いや製品・サービスの魅力を表現することはもちろん大切ですが、それ以上に「受け手(消費者)がどう感じるか」の部分が、プロモーションでは大切であるということです。
具体的なプロモーション手段の例
具体的なプロモーション(広告・PR)の手段としては、以下が挙げられます。
- 紙媒体:新聞、フリーペーパー、チラシ、優良情報誌、DM
- 電波媒体:テレビ、ラジオ
- WEB:リスティング、SNS広告、メルマガ、動画広告、プレスリリース、ブログ
- 実接点:看板、デジタルサイネージ
プロモーションで重要な3ステップ
4P分析の「Promotion(プロモーション)」で大切なのが、「誰が」、「何で」、「どう伝えるか」という3つのステップになります。
①顧客を知る(自社の広告で喜んでもらえる人を知る)
プロモーションを行なう上で最初に行なうべきことが、「自社製品・サービスの広告を見て喜んでもらえる人は誰か」を知ることです。
先ほど、プロモーションは受け手が主体であると解説しましたが、どんな広告・PRを行ったとしても、喜ぶ消費者とそうでない消費者が存在します。
そのため、広告・PR案を練る前に、まずは自社製品・サービスが本当に狙うべき顧客(ターゲット)を見極める必要があります。顧客(ターゲット)を見極めるためには、4P分析を行なう前に、3C分析やSTP分析を行っておくことが大切です。
3C分析やSTP分析について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>中小企業における「3C分析」とは?目的や分析方法をわかりやすく解説 | 熊本マーケティング研究所
>>「STP分析」とは?最適なセグメンテーションとポジショニングの方法を解説 | 熊本マーケティング研究所
②自分が何者なのかを知る(自社商品・サービスの立場を知る)
顧客(ターゲット)がしっかりと定まったら、今度は「自分(自社が売っているもの)」を知る必要があります。
なぜ自分を知る必要があるかというと、自社製品・サービスが属している立場・フィールドによって、ターゲットに対するプロモーションの仕方が大きく変わってくるためです。
「自分(自社が売っているもの)」を知るためには、「アサエルの購買行動類型」と「購入基準の4層構造」という分析方法を使用します。詳しくは後述いたします。
③何を伝えるかを知る(どんな手段でどんな効果を得たいかを知る)
顧客(伝える相手)と自分(伝えるもの)が明確になったところで、いよいよ「どんな手段で伝えるか」について考えていきます。
このとき、テレビCMやWEB広告といったプロモーション手段を考えるだけではなく、広告エフェクト(プロモーションを見たときの消費者の心理的な効果)から逆算して、具体的なプロモーション戦略を練ることができます。
広告エフェクトについても、後ほど詳しく解説します。
自分(自社が売っているもの)が何者なのか分析する方法
ここでは、先ほど「②自分が何者なのかを知る(自社商品・サービスの立場を知る)」でお伝えした内容について、さらに掘り下げてご紹介していきます。
アサエルの購買行動類型
「アサエルの購買行動類型」とは、消費者の購買行動を分析するためのモデルの1つです。「アサエルの購買行動類型」では、消費者の購買行動を「ブランド差異(X軸)」と「製品・サービスの関与度(Y軸)」の2要素に分類しています。
さらにそこから、2つの割合によって、以下4つの購買行動に分類されます。
- 不協和解消型(製品関与度:高、ブランド差異:小)/白物家電などが該当
- 情報処理型(製品関与度:高、ブランド差異:大)/車やブランド品などが該当
- 習慣型(製品関与度:低、ブランド差異:小)/日用雑貨などが該当
- バラエティーシーキング型(製品関与度:低、ブランド差異:大)/菓子・飲料などが該当
「アサエルの購買行動類型」を使って分析することで、自社の製品がどのタイプ(カテゴリ)に分類されるのかを知ることができます。
購入基準の4層構造
「購入基準の4層構造」とは、消費者の購買基準を以下の4層に分類し、自社商品がどの層で検討されているのかを分析することで、本当の競合を知ることができるモデルです。
①基本価値(品質や機能)
基本価値の層では、消費者がそもそもどんな価値を求めて、製品を選んでいるかを分析します。たとえば、大学生が「移動手段」として車の購入を検討している場合、競合は「電車・自転車・バイク」となります。
社会人の場合、「ステータス」として車の購入を検討している場合、競合は「ロレックスなどの高級時計やブランド品」などが考えられます。
②便宜価値(能力的な差異)
続けて便宜価値の層は、消費者が製品の能力的な違いに基づいて、どれを購入するか選ぶ段階です。
たとえば車の場合ですと、燃費や操作性、価格、車種などが「便宜価値」として挙げられます。
③感覚価値(情緒的な差異)
続けて感覚価値の層は、消費者が製品の情緒的な違いに基づいて、どれを購入するか選ぶ段階です。
たとえば車の場合ですと、車のデザインや乗り心地などの好き嫌いに属する部分が、「感覚価値」として挙げられます。
なお、場合によっては「②便宜価値」を飛び越えて、「機能はどうでもいいからピンクのこの車が欲しい」という具合に、見た目重視で購入を決定するケースもあります。
④観念価値(企業の考え方など)
最後に観念価値の層は、消費者が製品のストーリーやブランドに基づいて、どれを購入するか選ぶ段階です。
たとえば車の場合ですと、車を販売している企業のブランドイメージが、消費者の商品選択に影響を及ぼします。
このように、自社商品が4層構造のうちどこに分類されているのかを知ることで、プロモーションを行なう際の本当の競合やアピールポイントを知ることができます。
プロモーションで有効な広告エフェクトの種類
ここからは、前述の「③何を伝えるかを知る」で触れた、プロモーションで有効な広告エフェクト(広告効果)の種類と特徴について解説していきます。
トレードアップ効果
トレードアップは、商品を複数用意して、相対的なお得感を出す広告エフェクト・心理現象です。
チーズバーガーとダブルチーズバーガーを例に解説してみましょう。店舗としてはダブルチーズバーガーのほうが利益が高いのですが、例えば「+150円でダブルチーズバーガーにできますよ」と言われると、消費者としてはダブルチーズバーガーのほうがお得に思えます。
カリギュラ効果
カリギュラ効果は、制限や禁止が逆に欲求を刺激する広告エフェクト・心理現象のことを指します。たとえば、「体に悪い」、「太りやすい」と言われてるバラエティーシーキング型のお菓子やジュースなどが、カリギュラ効果と相性が良いです。
プラシーボ効果
プラシーボ効果(プラセボ効果)は、人の思い込みにより状態が変化する広告エフェクト・心理現象のことを指します。有名な実験で、有効成分が含まれていない薬を飲んだ患者が、症状改善や副作用反応が出たことから、この名前がつけられています。
プラシーボ効果は、主に購入基準の4層構造の「感覚価値」にあてはまる商品・サービスに適しています。
バーナム効果
バーナム効果は、誰にでも広く当てはまるような情報を、「自分のことだ」と思ってしまう広告エフェクト・心理現象を指します。占いなどでよく用いられています。
バーナム効果は、アサエルの購買行動類型の「不協和解消型」の商品・サービスに適しています。
フレーミング効果
フレーミング効果は、数学的な期待値が同じでも、情報の提示方法によって意思決定が変化する広告エフェクト・心理現象のことを指します。
たとえば「タウリン1000mg配合」と「タウリン1g配合」では、消費者は前者を選ぶ傾向にあります。また、「50%オフ」と「半額」の場合、半額が選ばれやすいです。
フレーミング効果は、購入基準の4層構造の「基本価値」や「便宜価値」で商品を検討している消費者に対して有効なプロモーションエフェクトです。
熊本マーケティング研究所「Labout」ならProduct開発をお手伝いできます
この記事では、4P分析の「Promotion(プロモーション)」について、「誰が」、「何で」、「どう伝えるか」という3つのステップや、「アサエルの購買行動類型」と「購入基準の4層構造」、トレードアップ効果などの広告エフェクトについてご紹介してきました。
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熊本マーケティング研究所のLabout「プロダクト開発」について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
>>プロダクト開発 | マーケティングサポート Labout | 熊本マーケティング研究所
>>Labout「新商品(サービス)の開発・新事業の立ち上げ」の詳細を解説【前編】 | 熊本マーケティング研究所
>>Labout「新商品(サービス)の開発・新事業の立ち上げ」の詳細を解説【後編】 | 熊本マーケティング研究所
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