コラム

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【2024年度 実践マーケティング講座】の振り返り 2024/8/3(土)開催

開催概要

日時 : 2024/8/3 (土) 10:30~12:30
会場 : 未来会議室 下通店(Event Box)
内容 : 「ブランディングの考え方~人の記憶に刻む~」
講師 : 丸山 泰(熊本県立大学 教授)

 

実践マーケティング講座とは?

2024年度の年間テーマは「ブランディング」です。ブランディングといっても考え方、手法は様々あります。ブランディングの基本理論から、実践的な考え方までを、年間を通して総合的に学べるカリキュラムとなっています。ぜひ年間を通して「ブランディング」を学べますので参加をお待ちしています。もちろん、座学だけで終わらず、学んだことをその場でアウトプットするので、実践力が身に付きます。他の参加者のアイデアも参考にできるので、実践者向けの内容となっています。

 

当日の内容

1.具体的に企業の実例で解説
2.ブランディングの定石を習得
3.ワークショップで実践体験

「これでいい」から「これがいい」へ。人の記憶に刻む、メーカーのブランディング手法をご紹介します。

丸山 泰(熊本県立大学 教授)
ライオン㈱時代は、技術者としてヘアケア製品の開発、リサーチャーとしてオーラルケア製品やビューティケア製品の開発調査から生活研究、社内開発基準の作成に従事。その後、事業部で、クリニカ、デンター等のオーラルケアブランドやキレイキレイ等のブランド開発育成、そしてビューティケア事業部長としてマーケティングマネジメントを担当。さらに、全社の商品ブランドのマネジメントフレームの開発と推進に携わった。熊本県立大学では、学生と一緒に地域活性化マーケティングに取り組んでいる。

 

メーカーで経験したブランディング

今回、講師を務めていただいた丸山教授は、熊本県立大学に赴任される前は、ライオン株式会社で数々の商品のマーケティングを手掛けていらっしゃいました。セミナーでは、実際に丸山教授が手掛けた「商品の事例」や「そもそもブランディングとは何か」ということを、資料を使ってお話いただきました。日本人なら誰もが知る”あの商品やこの商品”の誕生秘話、大手メーカーのブランド開発のお話を、実際に使用されたブランドの設計図とも言えるフレームをお見せいただけるなど、非常に貴重な機会となりました。

 

マーケティングとブランディング

セミナーの中で、丸山教授からマーケティングとブランディングの関係について、お話しをいただきました。マーケティングは、「人を気持ちよく動かす(動いてもらう)ために提案する”仕掛け” “仕組” “考え方”」であり、消費者に商品・サービスを「知って」「買って」「使って」そして「満足いただく」ために、企業が行う活動のことです。そして、このマーケティングを通じて、商品・サービスが顧客の頭の中に、記憶として刻まれていきます。これにより、長期的に顧客と良好な関係を構築していくのが、ブランディングです。商品・サービスが溢れている中で、大勢の商品・サービスの中の一つ、として認識され「これでいい」と思われるところから抜け出し、「これがいい」と指名買いしてもらう、顧客にとって、その他大勢とは違う「特別な存在」になるということです。

 

作り手と受け手

ブランディングは、作り手側(メーカー)によって開発されていく「ブランド開発」の時期と、市場にブランドが導入され、受け手(顧客)がブランドに触れる「ブランド体験」を通じて、頭の中に記憶として刻まれていく「ブランド育成」の2つに大きく分かれます。つまり、最初は作り手側にあったブランドが、育成の段階になると作り手と受け手の相互の活動によって、顧客の記憶に刻まれて育っていきます。なので、ブランドは名前やマーク、キャッチフレーズを作ることだけではなく、作り手と受け手の相互の継続的な活動ということになります。

 

お客様へのプロポーズ

ブランドは、顧客の課題を解決し理想の状態へと導くことが求められます。なので、ブランド作りでは「我々のブランドは、顧客のどんな悩みを解決するのか」という「約束」が必要になります。この約束によって長期的な関係構築をしていきます。この約束は、「ブランドプロポジション」と呼ばれます。プロポジションはプロポーズの名詞形で、顧客へのプロポーズを考えて、それを継続的に守っていくことが必要です。
ブランドプロポジションは弊社代表の岡村が1月のセミナーでも触れたものになります。こちらのセミナー振り返りも是非ご覧ください。
>>>中小企業が結果にコミットするためのブランディング入門塾

 

ワークショップ

丸山教授のお話の後は、セミナーの内容をアウトプットするワークショップが開催されました。参加者の方の会社や、商品・サービスの、ターゲット顧客の現状と理想の状態を考え、それに対して商品・サービスはどんな役割を果たすのか、つまり「どんなプロポーズをするのか」を考えるワークに取り組んでいただきました。会場には会社員の方や経営者の方、そして高校生など、様々な業種・立場、そして幅広い年代の方がいらっしゃいました。皆さんそれぞれの立場でワークに取り組んでいただきました。その中から3名の方に、ご自身のワークシートを使って発表をしていただきました。また、その発表の後は、丸山教授からのフィードバックがあり、「こういう方向性が良いのではないか」「もっとこんなことを顧客は求めているのではないか」など、その場で参加者のブランドのブラッシュアップをしていただけました。発表いただいた方だけでなく、聞いている参加者の方も「なるほど!」と頷く方が多くいらっしゃる、密度の濃いワークの時間となりました。

 

質疑応答

最後に、丸山教授に当日の勉強会についての質疑の時間がありました。8月は初参加の方も多くいらっしゃった勉強会ですが、会場からは次々と手が挙がり活発な質疑応答の時間となりました。弊社代表の岡村からも、丸山教授に質問をさせていただきました!

 

まとめ

今回は、熊本県立大学の丸山 泰 教授にブランディングについてお話いただきました。メーカー時代の経験や、実際に使われていたフレームをご紹介いただく非常に貴重な機会となりました。大手メーカーの事例を取り上げてお話をいただいた勉強会でしたが、参加者の方が自社でブランディングに取り組むには、どういうやり方が考えられるかなど、中小企業でも「こんなことはできるんじゃないか」という具体的なお話もあり、セミナー後に実践できることも沢山ご提供いただきました。振り返りを書いている私(宮﨑)自身も、勉強になるところが多い8月の勉強会でした。丸山教授、そしてご参加いただいたみなさんありがとうございました。

 

次回予告

次回の勉強会は、以下の通りです。
日時 : 2024/9/14(土) 10:30~12:30(開場10:15)
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「競合との差別化を図る!STP分析の基本」
講師 : 髙宗 将(株式会社熊本マーケティング研究所)