開催概要
日時 : 2024/9/14(土) 10:30~12:30
会場 : 熊本市現代美術館 会議研修室
内容 : 競合との差別化を図る!STP分析の基本
講師 : 髙宗 将(株式会社熊本マーケティング研究所)
基礎マーケティング講座とは?
STP分析などの環境分析から、マーケティングミックス(4P)まで基礎を学ぶための講座です。参加者同⼠でのワークショップなど、即実践ができる体験型の勉強会となっています。初⼼者向けですが、⾃分以外の意⾒を聞くことで新たな発⾒がありますので、基礎から⾒直したいという⽅、改めて学び直したいという⽅にもおすすめです。
2024年度の勉強会について
2024年度の勉強2024年度の年間テーマは「ブランディング」です。ブランディングといっても考え方、手法は様々あります。ブランディングの基本理論から、実践的な考え方までを、年間を通して総合的に学べるカリキュラムとなっています。ぜひ年間を通して「ブランディング」を学べますので参加をお待ちしています。
当日の内容
1.STP分析について
2.ワークショップ
当日はブランディングにおける、「STP分析」について座学・ワークショップを通してお伝えしました。今回のセミナーレビューにつきましては、この中からいくつか内容を抜粋して、皆さんに伝えたいと思います。
ブランディングとは
突然ですが、ブランディングって何か答えられますでしょうか?
前述の通り、今年のテーマは「ブランディング」です。ブランドが市場でどんなポジションを確立していくのか決める上でSTP分析が必要となります。なので「ブランディングが何かわからない!」という方は、1月の勉強会で「ブランディングとは何か?」についてお伝えしておりますので、1月の振り返りをぜひご覧になってください。
>>> 1月20日開催「 中小企業が結果にコミットするためのブランディング入門塾」振り返り
STP分析とは
S:セグメンテーション(市場細分化)
顧客の集合体である市場を特定の基準を設けて分類し、近しい属性の消費者ごとのセグメント(塊:グループ)に切り分けていくことです。
T:ターゲティング(細分化した市場の中から選択)
セグメンテーションによって切り分けたセグメントの中から、自社が狙っていくセグメントを選ぶことです。
P:ポジショニング(市場の中でのブランドの立ち位置を決める)
ターゲット顧客にとって自社や対象のブランドがどのような立ち位置か、また競合はどのような立ち位置なのかを明確化します。
これら3つの工程の頭文字を取って名付けられた分析手法がSTP分析です。
STP分析の目的
なぜ、STP分析をやるのか?その目的は大きく3つあります。
①自社の独自性を発見する
②競合との争いを避ける
③顧客に選ばれる確率を上げる
STP分析ができていないと「誰をターゲット」にしているか「競合」とどう違うのかなどが曖昧になり顧客から選ばれにくいブランドになってしまいます。ブランディングにおいては、他社とは違う自社ブランドの優位性を明確化し、有利なポジションを見つけることで有効なブランドを築いていくために活用する分析手法です。
セグメンテーション
STP分析をやる場合は、まずセグメンテーションから行っていきます。セグメンテーションでは消費者の集合である市場を特定の基準に基づいて切り分けていきます。この切り分けられた塊は、セグメントと呼ばれます。例えば「熊本市在住 20代 女性」のようなもので、この場合は「居住地」「年齢」「性別」という基準で切り分けています。この基準は無数に存在していますが、代表的なものをご紹介します。BtoC企業とBtoB企業で使う基準が異なってきますのでそれぞれについて4つご紹介します。下記4象限の図にまとめたようなものがセグメンテーションの基準として使われるものになります。
ターゲティング
セグメンテーションを行った後は、分けられたセグメントから自社が狙うセグメントを選定していきます。これが、ターゲティングとよばれる作業です。ターゲティングを行う際、選択市場をどう選ぶのかということについてですが、テキトーに選んでいいというわけではもちろんなく、ターゲティングの際に注視するポイントが存在しています。
①自社のMVVに沿っているか
会社として、MVVや経営理念の中に事業領域を定めている場合は、まずはそこに沿っているかが判断基準となります。熊本マーケティング研究所の場合は「中小企業に貢献する」というのを文言として盛り込んでいるので、大企業ではなく中小企業というのがターゲティングの際の選考基準になってきます。
②十分な売上・利益を見込める市場規模か
ターゲティングの際には対象のセグメント市場規模を把握することも大事になってきます。その市場で十分に売り上げを上げることが出来るのかであったり、そもそもそんなセグメントが本当に存在するのかを把握せずターゲティングをしてしまうと、どんなに良いポジショニングを行ったとしても、有効なブランディングに繋げることが出来なくなります。
③自社の製品・サービスなどのメッセージをターゲットに届けられるか
ブランディングでは、作ったブランドを顧客に届け、またその後の継続的な活動によってイメージを植え付けていくことが必要です。なので、対象のセグメントに対して自社はブランドメッセージを伝えることが可能かは非常に重要です。例えば、熊本の事業者で東京の方をターゲットにブランドメッセージを発信したいとなった場合、かなりの費用と労力を割くことになります、これが自社にとって可能かどうかということです。
④対象市場の規模や特徴などを測定できるか
ブランディングは、作って終わりではなく継続的にイメージを植え付けていく活動です。なので、対象のセグメントが測定・分析できないとなると、数値目標の設定などが困難となり、ブランディングがどの程度進んでいるかという効果測定ができません。
ポジショニング
ターゲティングの次はポジショニングの段階に入ります。ターゲット顧客の頭の中に、どんな独自性を持ったブランドのイメージを植え付けるのかを明確化していきます。ポジショニングではポジショニングマップと呼ばれる手法を用いて、ターゲット顧客にとって自社と他社はどのような位置づけにあるのか、ということを可視化することがオーソドックスなやり方です。ポジショニングマップとは縦・横軸で分けられた4象限の図に、自社や自社のプロダクト、それから競合をプロットしていくものです。この時、縦軸と横軸には「ベネフィット」という顧客が感じる価値を設定していきます。
こうして出来上がったポジショニングマップを見たときに、自社のブランドが競合の多いところに位置していないかであったり、ポジショニングマップ上の空白地帯を探っていくことがこのポジショニングマップの使い方になります。このようにして、独自性のある差別化ポイントを持たブランド作りに活用していくためのフレームワークです。
ワークショップ
当日は、STP分析を各段階ごとに分解した理解を深めるワークショップを行いました。
個人ワーク後は他の人のSTP分析を見ることで、一人では見落としてしまっていた視点や、さらに深く考えることに繋がるワークになりました。
まとめ
今回は、STP分析についてのセミナーでした。STP分析ではポジショニングマップ上の空白地帯を探っていくのですが、空白地帯があった場合は「そこにニーズがあるのか?」や「競合は本当にいないのか?」といったことに注意する必要があります。ターゲットのこと、競合のことについての理解が十分でないと空白だらけのポジショニングマップが出来上がってしまいます。ただ、ターゲットや競合について現在の理解度を知るという意味でもSTP分析は非常に役立つ分析手法なので、ブランディングのみならず多くの場面で活用ができるフレームワークなので、ぜひ貴社の事業にお役立て下さい!
次回予告
次回の勉強会は、以下の通りです。
日時 : 2024/10/12(土) 10:30~12:30
会場 : 熊本市現代美術館 会議研修室
内容 : ブランディングは、ほぼ言葉を作る作業
講師 : 小山田 宗玄 (株式会社ジャム)