コラム

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【2024年度 実践マーケティング講座】の振り返り 2024/10/12(土)開催

開催概要

日時 : 2024/10/12 (土) 10:30~12:30
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「ブランディングは、ほぼ言葉をつくる作業」
講師 :  小山田 宗玄(株式会社ジャム 代表取締役)

 

実践マーケティング講座とは?

2024年度の年間テーマは「ブランディング」です。ブランディングといっても考え方、手法は様々あります。ブランディングの基本理論から、実践的な考え方までを、年間を通して総合的に学べるカリキュラムとなっています。ぜひ年間を通して「ブランディング」を学べますので参加をお待ちしています。もちろん、座学だけで終わらず、学んだことをその場でアウトプットするので、実践力が身に付きます。他の参加者のアイデアも参考にできるので、実践者向けの内容となっています。

 

当日の内容

1.ブランディングについて
2.ワークショップ

ブランディングとは?から、SNSを用いたブランディング方法までを実例をもとに解説。ブランディングの第一歩で、欠かすことができない「言語化フェーズ」。その中でもっとも重要となる「コンセプトの思考法」をワークショップ形式で一緒に学びました。

小山田 宗玄(株式会社ジャム 代表取締役)
<株式会社ジャム>
社会との関わり方、人としての生き方、考え方、文化文明に対する姿勢、世の中の価値観さえも、あっという間に変化してしまう、今という時勢だからこそ、常識にとらわれない、しなやかな視点で見渡せるクリエイティブが力を発揮できるフィールドは大きいと信じています。わたしたちは、ビジネスを発展させ、商品とサービスを広め、新しい事業をともに開発するパートナーとして、課題を見つけ、前に進め、アイデアを行動に結びつけるまで一貫してサポートするCreative Blend Companyです。デザイン、映像プロデュース、企画・開発、マーケティングプランなど、さまざまな分野のクリエイティブを、結果に結びつけるようブレンドし、チームで取り組みます。

 

株式会社ジャムの実績

<CM>
熊本空港リニューアルオープン

西鉄の連接バス

九州電力(オール電化)

2024年度熊日広告賞グランプリ

 

冒頭で小山田さんから株式会社ジャムが手掛けた、上記CMを皆さんに紹介してもらいました。直近では2024年度熊日広告賞のグランプリも受賞しており、参加者始め、運営側の熊本マーケティング研究所も、改めてすごい人の講義が聞けるんだと思った瞬間になります。

 

冒頭での小山田さんの言葉

小山田さんから、ブランディング・パーパス、MVVなど巷ではいろんな言葉があり、定義がいろいろある。まずは自社でどの言葉を活用するか、その言葉の定義をしっかり整理して、自社なりの定義をつくる必要がある。今回のセミナーは小山田さんが考えるブランディングの定義の話しについてであり「これが絶対正解」というわけではないが、定義を明確にすることが重要であると教えて頂きました。

 

ブランディングとは何か―企業に求められる「らしさ」の再定義

「ブランド」とは、一言で言えば「らしさ」です。この「らしさ」は、その企業や製品が持つ独自の個性や価値を表現し、消費者に伝える役割を担っています。この「らしさ」をとても大切にする必要があります。 テレビCMを見れば、その企業がどのようなものなのか、どんな価値観を持っているのかがすぐに分かる時代がありました。しかし、現代では情報が多様化し、消費者の選択も多くあるなか、「らしさ」を維持することがより難しくなっています。価格の競争や尖ったコンセプトが注目される中で、かつてのような直感的なブランド構築は難しくなっています。そんな中、ユニクロは良い例となっています。 同社は、世界中で一貫したトーン&マナーを持っており、 それは、どの国でも「ユニクロらしさ」を感じられるように、戦略的にブランドの一貫性を保っています。このような「らしさ」は、企業にも必要なものです。人間に「人格」があるように、企業にも「法人格」、つまり企業独自の「らしさ」が存在すべきです。

 

「らしさ」から生まれるファン

ブランディングとは、企業や商品が独自の「らしさ」を「言葉」にすることから始まります。言うならば「コンセプト」を考えるということになります。この「言葉」が消費者に伝わり、共感してもらうことで自然とファンが生まれ、強い支持が集まります。かつて、アイドルグループの「会いに行けるアイドル」というコンセプトは、その「らしさ」を象徴するものです。 数多く存在するアイドルグループの中でも、この独自のコンセプトにすることで、他とは違う魅力を発揮し、ファンを惹きつけています。ファンが特定のメンバーグループを「推し」として応援するのは、この「らしさ」に共感し、強く惹かれているからです。このように、明確なコンセプトは企業にも求められます。コンセプトとは、全体を貫く基本的な考え方です。まずはその第1歩目を考えることから始める必要があります。

 

スターバックスの例

スターバックスは自宅と職場の間にもう一つの「息をつける場所」という考えのもと、「第3の場所」を提供するというコンセプトで店舗展開しています。そのためスターバックスは、コーヒーショップや喫茶店などとは定義をしていません。この「第3の場所」を実現するために、スターバックスは多くの要素にこだわっています。例えば、店舗の立地は自宅や職場から通いやすい場所などを鑑みて設定しています。また、インテリアも座席の空間を適度にとり、リラックスできる距離感を確保し、周囲からの干渉を考慮しています。さらに、飲み物を紙コップで提供するのは音に配慮しているためであります。これらの要素はすべて、スターバックの根本にあるコンセプトによって統一されています。

 

コンセプトは価値の設計図―企業が存在する理由を明確にする

企業が成功するためには、「なぜその企業が存在するのか」を明確にすることが重要です。この問いに対する答えを分かりやすい言葉で表現できた時、その企業のコンセプトが形成されます。 、コンセプトは企業にとっての「価値の設計図」となり、さまざまなビジネスの意思決定における指針を提供します。

コンセプトが実現する具体的な価値は、以下の3つとなります

① 判断基準になる

コンセプトは、企業やブランドが求める価値が正しいかどうかを判断するための基準になります。明確なコンセプトがあることで、企業全体が同じ基準で判断できるため、迷いがなくなります。

② 一貫性を与える

コンセプトは、企業のメッセージや行動に一貫性をもたらします。広告やSNSでの発信がそのコンセプトに基づいていれば、消費者はその企業の価値観を自然に捉え、信頼感を抱きます。しかし、もし違うメッセージや行動が繰り返されると、消費者は違和感を感じ、ブランド認知を損なうリスクがあります。

③ 対価の理由になる

コンセプトは、価格設定に納得感を考える重要な役割を果たします。 なぜその価格なのか、その背景やストーリーをコンセプトによって説明することで、消費者はその商品やサービスの対価に共感し、その価値に納得がいきます。コンセプトがあることで、価格に対して「なぜ」を説明するストーリーが生まれ、消費者の理解を得ることができます。

 

ワークショップ

小山田さんのお話の後は、セミナーの内容をアウトプットするワークショップが開催されました。ワーク内容は「コンセプトの種を作ってみよう」ということで、小山田さんが皆さんが考えやすいようにフレームワークを設計し、お題を考えてもらいワークに取り組みました。会場には会社員の方や経営者の方、様々な業種・立場、そして幅広い年代の方がいらっしゃいました。皆さんそれぞれの視点でワークに取り組んでいただき、その中から数名の方に、ご自身のワークシートを使って発表をしていただきました。様々な視点からの発表と小山田さんからのフィードバックでとても勉強になるワークショップとなりました。

ちなみに弊社の岡村代表も発表してフィードバックを受けました!

 

まとめ

今回は、株式会社ジャムの小山田さんにブランディングについてお話してもらいました。小山田さんの考えを分かりやすく話していただき非常に貴重な機会となりました。小山田さんから最後にブランディングとは、一言で言い表せるような「言葉=コンセプト」を基に一貫性のある「らしさ」をつくることである。社会的な概念上、発言NGなど様々あるので、そこを考えた上で、流行りやトレンドに流されずに普遍的ならしさをつくることが重要であると話していただき、みんな納得の素晴らしい勉強会となりました!

 

次回予告

次回の勉強会は、以下の通りです。
日時 : 2024/11/9(土) 10:30~12:30(開場10:15)
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「ブレない! ズレない! 選ばれるブランディング実践のためのペルソナ設計講座」
講師 :   宮﨑 滉(株式会社熊本マーケティング研究所)