久しぶりにこのカテゴリーでコラムを書きます、マーケターの高宗です。今回私が紹介するのは、「とにかく仕組み化」です。本書では、 人の上に立つために重要なことは、何事も「仕組み」で解決する姿勢を持ち、 失敗が起こったり、会社の目標が未達だったときに「とにかく仕組み化」という口グセに立ち返り、ルールによって問題解決を図る方法を記載しています。この本を読むことで、社員の成長、会社の成長をどう仕組み化していくかの課題解決の1つのヒントになるのではないかと思います。中小企業の経営者や幹部の方々に手に取ってほしい一冊です。
著者紹介
案藤 広大 氏 (株式会社識学 代表取締役)
株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの9年間で約4300社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(ともにダイヤモンド社)がある。
仕組み化がなぜ重要なのか
仕組み化が必要な理由として以下があります。
■性弱説を前提に考えたほうがいい
人は楽なほうに流れるものだと考え、仕組み化を進めることが重要です。著者は「私からメールが届いたら3時間以内に返信してください」という明確なルールを設定しています。「できるだけ早く返信してください」という指示では、人によって解釈が異なります。20分以内、30分以内と考える人もいれば、「その日のうちでいい」と思う人もいます。そのため、具体的で明確なルールを共有することが重要です。仕組みを導入することで、全員がルールに従ってスムーズに仕事を進められるようになります。このように、組織として効率よく仕事を進めるためには、「人は弱い」という性弱説を前提に踏まえた仕組み作りが肝心です。
■組織は放っておくと属人化する
人は放っておくと属人化してしまいます。それが本能だからです。自分が活躍して、他の人が出来ない状況は個人にとってメリットがあります。しかし、属人化している人が突然休職したり退職したりした場合、組織全体が大きな影響を受けます。 属人化が進んでいると、代わりを担える人がいないため、業務が滞り、場合によっては売り上げが大幅に落ちるリスクもあります。リスクを防ぐには、「誰がいなくてもチームとして機能する組織」を目指す必要があります。そのためには、『仕組み化』が重要です。業務が個人に依存せず、チーム全体で共有できるようにプロセスを整えることや、全員が成長できる育成体制を構築することが鍵となります。さらに、リーダーはこの仕組みを率先して作り、属人化を防ぐ役割を検討し、仕組み化を進めることで、誰がいても勝てる強い組織を作ることができます。
仕組み化の具体的なステップ
具体的にどのように仕組み化をすればいいのか、本書では次の5つのステップで仕組み化が作れると書かれています。
①責任と権限を手に入れる
②危機感を利用する
③比較と平等に気をつける
④企業理念を再認識する
⑤進行感を感じる
この5つのステップはとても重要なものでありますが、この5つの中から①と③に絞ってこのコラムでは紹介したいと思います。
①責任と権限を手に入れる
「責任と権限」を手に入れるためには、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。それぞれのポイントを明確に把握し、実践することで、チームのパフォーマンスを向上させ、信頼関係を築くことができます。
1.良い権利と悪い権利を分ける
「良い権利」とは、明文化されたルールや基準に基づくものです。「悪い権利」は口頭や慣例のみに頼ったものを言います。権限の範囲やルールを文書化し、明確に伝える必要があります。これにより、チームメンバーが安心して行動できる環境を作ります。
2.意思決定で線引きをする
意思決定の場面では、リーダーとして自分の役割を明確に示すことが重要です。「ここで決めるのは私だ」と主体性を持つ姿勢が、他者を巻き込む力になります。意見や議論が出た際には、最終的な決定権を持つ人を明確にし、決定後は自信を持って「私が決めました」と伝えることで、周囲に安心感を与えます。
3.朝令暮改を恐れない
仕事における正解は常に変わります。ルールを運用していく中で改善案が出た場合などはルールを変えます。そこで「どう思われるか」を恐れる必要はありません。
4.権限を与える
部下に業務を委ねる際、権限の範囲を具体的に理解することで、責任感を持たせつつ効率的な業務遂行が可能になります。上司と部下で責任と権限の認識にズレがないようにする必要があります。
③比較と平等に気を付ける
次に比較と平等について紹介したいと思います。以下の4つのポイントを抑えることが重要となります。
1.比べることから逃げない
リーダーや組織の上に立つ人は「人と比較するための仕組み」を整えることが必要です。平等とは、全員が同じ報酬を受け取ることではありません。努力した人が正しく報われることが、真の平等です。そのためには、誰が見ても明確な基準を持ち、それを明文化した評価制度が必要です。また、制度があることで評価が得られなかった人も「次こそは頑張ろう」となります。
2.環境への言い訳を認めない
「今回は条件が悪かった」など、失敗を環境のせいにしていては成長は望めません。そこで、明文化された評価があることで自分の結果を正当な評価として受け入れやすくなり、言い訳をせずに向き合う姿勢となります。
3.人間関係の問題を生み出さない
人の悩みの99%は人間関係が原因だと言われるように、仕事における悩みも、多くが人間関係から生じます。 仕組みのない属人的な組織では、部下が上司にゴマをするような状況が生まれやすいです。そのような環境では人間関係の問題が多いし、人間関係を気にしすぎると仕事に集中できず、成果を上げれません。
4.マイナス評価を受け入れるようにする
成果を上げなくても給料や評価に影響がない場合、「別に頑張らなくていいんだ」という認識になります。責任として自分に跳ね返ってくるかどうかは大事な仕組みです。
今回は5つのステップの一部を紹介しましたが、もっと深く知りたい方や他のステップが気になる方はぜひ本をお読み下さい!
おわりに
今回は「とにかく仕組み化」をご紹介しました。この本を読むことで仕組み化の本質を知ることができます!なぜ今まで上手くいかなかったのかや、どう考えればいいのかを具体的に記載してあるのでとても勉強になります。ぜひコラムを読んで興味を持った方はお読み下さい!ちなみに弊社も人事評価制度を仕組み化するサービスを提供しています。ご興味のある方はこちらのコラムもご覧下さい。