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【2024年度 実践マーケティング講座】の振り返り 2024/12/14(土)開催

開催概要

日時 : 2024/12/14 (土) 10:30~12:30
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : 「【AI時代】これからの映像制作とマーケティング」
講師 :  中川 典彌 (株式会社 映gent Ro.man 代表取締役)

 

実践マーケティング講座とは?

2024年度の年間テーマは「ブランディング」です。ブランディングといっても考え方、手法は様々あります。ブランディングの基本理論から、実践的な考え方までを、年間を通して総合的に学べるカリキュラムとなっています。ぜひ年間を通して「ブランディング」を学べますので参加をお待ちしています。もちろん、座学だけで終わらず、学んだことをその場でアウトプットするので、実践力が身に付きます。他の参加者のアイデアも参考にできるので、実践者向けの内容となっています。

 

当日の内容

1.ブランディングについて
2.ワークショップ

映像クリエイターは増え続けていますが、その道一本で生計を立てられる人は限られています。後発クリエイターとして、中川さんがどのように活動を展開し、今後どんな未来を描くのか。実体験に基づくマーケティング手法と展望を交え、お話していただきました。今回のコラムは中川さんのセミナー内容の一部を記事にしております。

中川 典彌 (株式会社 映gent Ro.man 代表取締役)
<講師プロフィール>
2019年、プログラマーから映像クリエイターへ転身し、株式会社映gent Ro.manを設立。完全独学で映像スキルを習得し、企画・脚本・監督・撮影・編集のすべてを一貫して手がける。5年間で制作した作品は、地域や企業のPVやCMなど200本を超える。2024年6月には熊本短編映画祭を主催し、自身初の映画も上映。SONY「α」アカデミー講師を務める傍ら、登録有形文化財の中に小さな映画館とBAR、ラジオルームを運営している。

 

AI時代における映像制作について

近年、AI技術の急速な進化により、映像制作を取り巻く環境が大きく変化しています。一昔前までは、人間の職人技でなければ成し得なかった高品質な映像制作が、AIツールの活用で誰でも容易に実現できる時代が到来しました。例えば、AIによる映像生成サービス“SORA”は、圧倒的なクオリティの動画でクリエイティブ業界全体を揺るがしています。しかし、こうした技術革新に対して焦る必要はありません。むしろ、AIの登場は映像クリエイターに新たな可能性をもたらし、人間だからこそ生み出せる価値を再認識する契機ともなってるとのことです。今回のセミナーでは、AI時代の映像制作に必要なスキルやマインドセット、そして人間にしかできないブランディンの重要性についてお話していただきました。

 

映像制作に求められる多様なスキル

映像制作は、単にカメラを回すだけではなく、撮影から企画、編集など、多岐にわたるスキルが必要とされる仕事であり、まさに“マルチプレイヤー”と呼ぶにふさわしい存在です。また、撮影スキルや技術はもちろん、映像を作り上げる体力や集中力も求められます。このように、たった1本の映像を仕上げるために、クリエイターはあらゆる場面で力を発揮する必要があります。一方で、AI時代の到来により、これまで数年かけて培った技術がAIに代替される可能性があるという現実も無視できません。たとえば、AIは驚異的な速さで高度な編集作業をこなせるため、従来の映像制作プロセスが劇的に効率化されています。しかし、この変化はクリエイターにとって危機というよりも、むしろチャンスと捉えるべきです。中川さんはこれからは「共存の時代」とおっしゃっていました。人間がやるべきことを極めて、AIにできることはAIに任せろ!とのことです。

 

AI時代における人間らしさの価値

AIが得意とするのは、技術や知識を駆使した効率的な作業です。しかし、映像の良し悪しを最終的に判断するのは人間であり、視聴者の感情に訴えかける力は人間のクリエイティブによるものです。つまり、AIには再現できない“人間らしさ”が、映像制作の核心部分での差別化ポイントとなります。例えば、結婚式や七五三の映像など、人々の人生に寄り添う映像制作では、共感や信頼といった要素が欠かせません。これらはAIには真似できません。人間だからこそ可能な価値提供です。特にブランディングの領域において、AI時代におけるクリエイターの役割が一層重要になります。ブランディングとは、単にロゴやデザインを整えることではなく、“その人や企業でなければならない理由”を明確化することです。そしてこの理由が、共感や希少性、信頼性といった感情的な要素に支えられている点が、AIには決して代替できない部分です。

 

映像制作とブランディングの融合

映像制作においてブランディングが重要である理由は、その映像が持つメッセージが視聴者に伝わり、感情を揺さぶる力を持っているからです。例えば、企業のPR動画をおいても、インナーブランディングを意識して映像にすることで、それを見た社員が涙を流しながら「この会社で働いていて良かった」と実感する瞬間が生まれます。そうした映像は、社内の結束力を高めるだけでなく、外部に対しても強いブランドイメージを与えます。また、映像クリエイター自身も、ブランドを明確化することで他のクリエイターとの差別化を図ることができます。中川さんは、熊本を拠点とし、地域性や物語性、映像表現を融合させた作品を作ることで、自らのブランド価値を高めています。また中川さんは、常に新しい試みや挑戦をしており、出来ないことをいかに出来るようにするかを常日頃意識しています。

 

未来を見据えるために必要な学び

AI時代に関して、映像クリエイターが生き残る、自分のブランディングをどのように進めるべきかについて、中川さんから教えいただきました。その中から、いくつかのポイントをご紹介します。

■AIを学ぶ: 知らないことを学ぶ必要があります。映像クリエイターが学んで最先端の知識を持っていなかったらクライアントに対して説得力がありません。AIを知らないなら知る必要があります。

■自己分析:自分自身の強みや弱みを見つめ直すことや、自分が社会に何を提供したいかなどを明確化し、戦略を考えます。

ターゲットの設定:自分が仕事を通して幸せを届けたい相手は誰かを明確にする。また、クライアントのニーズを深く理解し、その期待を超える映像を提供するためには、業界知識を常にアップデートする必要があります。

このように学ぶこと、自分を知ることがとても重要となります。AI時代において人間らしさを軸に据えた新たな価値創造が求めらます。映像クリエイターはAIと共存しつつ、自らのブランドを通じて、映像を見る人の心に響く映像を作り続けることで、これからも社会に貢献していけると中川さんは話してくれました。

 

質疑応答

座学をして頂いた後に参加者の皆様の要望で質問タイムを設けました!ここぞとばかりに多くの方から質問がでて、普段聞けないことを話していただきました。「中川さんは失敗体験あるんですか」と自分が質問したんですが、「失敗は成長で成功のためのプロセスです」と返答していただいた時は愚かな質問をしたと反省しました……

 

まとめ

今回、株式会社映gent Ro.manの代表取締役である中川さんにブランディングについて話していただきました。中川さんはセミナー受付1週間で満席になるほどの人気講師であり、その内容は期待以上のものであり感銘を受けました。座学とともに、中川さん自身が手掛けた動画を使った解説は、単に技術を教えるだけでなく、映像の背景や込められた意味を伝えるものであり、より参加者の感情移入を引き出し、皆さん感動していました。今年最後の勉強会講師として素晴らしい講演をしていただき中川さん本当にありがとうございました!!

 

Marketing Unique On!ワークショップセミナーのお知らせ

来年の1月からは、Marketing Unique On!ワークショップセミナーという新しい名前で開催していきます!ワークショップセミナーとは「初心者の方でもわかりやすく」をコンセプトに開催していく、グループワーク形式の勉強会となります。今年とはまた違った楽しさを提供しますので、ぜひ皆さん来年も引き続き参加をお願いします。

日時 : 2025年1月18日(土) 10:30~12:30(開場10:15)
会場 : 熊本市現代美術館(会議研修室)
内容 : ワクワク‼ マーケティングの世界へ‼
講師 : 高宗 将(株式会社熊本マーケティング研究所)