コラム

Column

コトラーのマーケティング1.0~5.0<3.0編>

みなさんこんにちは!サポータの薄井です。
もう1月も終わりに近づいておりますが、遅ればせながら新年のご挨拶を。
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回は【コトラーのマーケティング<3.0編>】をお届けします。

〰さらっとおさらい〰
マーケティング1.0~5.0って?
アメリカの経営学者で「現代マーケティングの父」、「マーケティングの神様」と評されるフィリップ・コトラーによって提唱されたマーケティングの変遷を現したものです。
【1.0】製品自体の特長や性能、品質を重視し、顧客のニーズやウォンツ、市場の変化は重視しない「製品中心」のマーケティング
【2.0】企業が「製品中心」から「顧客中心」にシフトし、顧客のニーズに応えるためのマーケティング

それではさっそく<3.0編>いってみましょう!

マーケティング3.0 【1990~2000年代】


1990年以降、インターネットなどの情報技術が発展しました。そのため、顧客は今まで得られなかった情報を手軽に獲得できるようになりました。また、環境破壊や、格差などの様々な社会問題が深刻化したことで、企業の姿勢やビジョンが問われ「より良い環境や社会づくり」に力を入れることが企業の1つのブランド力の指標となりました。そして顧客も「お腹が空いているから」「前から欲しかったから」などのシンプルなニーズに加え、「環境に良いから」「誰かのためになるから」という社会的支持ができる企業の製品を選ぶようになっていきました。
このようにモノを売るだけではなく、それを通して社会的な課題に対して貢献しようとする「社会志向」の考え方が生まれました。

✍プチ解説1

【マーケティングコンセプト】…5つに分類されるマーケティングの考え方
前編から続き最後の1つは、
◆社会志向(ソーシャルマーケティング志向)って?
社会の一員として責任を果たし、より良い社会の実現に貢献しよう!
⇒環境問題や貧困、資源不足などの課題解決に貢献できるような製造方法や製品開発を行っていく考え方
※生産・製品・販売志向は<1.0編>
顧客志向(マーケティング志向)は<2.0編>でチェック☝

 

例えばアウトドアブランドのPatagonia。Patagoniaは特に環境問題への取組みが強調されています。「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という理念を掲げ、製品の長寿命化を推進し、リサイクル素材を使用する等、環境にやさしい製品づくりを行っています。Patagonia創業者のイヴォン・シュイナードは『地球が私たちの唯一の株主』と綴っています。
◎WORN WEAR
WORN WEARプロジェクトでは、不要になったパタゴニア製品の買取や壊れてしまったギアの修理、手入れのサービスを提供し、消費の循環を促進しています。
◎1% for the Planet
1% for the Planetプロジェクトでは、売上の1%を環境保護団体に寄付する活動を行っています。

引用元:Patagonia
このような取り組みを行っている企業の製品やサービスを購入することで、顧客自身も社会に貢献できているという意識を持つことができるのです。

顧客の心をつかむ企業価値の作り方


マーケティング3.0では「ポジショニング」「ブランド」「差別化」という3つの視点から企業価値を評価する「3iモデル」というフレームワークが用いられるようになりました。以下の3つの『i』の視点で、自社のマーケティング活動を評価し、バランスの取れた三角形に近づけることを目指します。
◆Brand Identity:ブランドアイデンティティ
「ブランド」と「ポジショニング」から成り立ち、ブランドのポジショニングを明確にすることを意味しています。企業が顧客の関心を引くためにユニークなミッションを掲げそれを浸透させることで、顧客のマインド内にブランドをポジショニングすることができます。ポジショニングできることで「○○」と言えば「○○だよね」という連想が生まれ、顧客のニーズや欲求に応えることに繋がります。
◆Brand Image:ブランド・イメージ
「ブランド」と「差別化」から成り立ち、顧客の感情的なニーズや欲求に訴えかけ、ブランドを競合他社と差別化させることを意味しています。企業は将来のビジョンや目指すライフスタイルなどを示すことで、ブランドの価値観に共鳴した顧客はそのブランドを選ぶことで精神的な満足を得ることができます。マーケティング2.0で解説したSTP分析とブランディングを掛け合わせたものです。
Brand Integrity:ブランド・インテグリティ
「ポジショニング」と「差別化」から成り立ち、ブランドに対する誠実さを意味します。ユニークなポジショニングを差別化によって支え、ブランドの主張を実現することで顧客の精神に訴えかけ、ブランドに対する信頼の醸成を目指します。

先ほど挙げたPatagoniaを例に見ていきましょう。
「地球環境の保護」と「持続可能な社会の実現」というIdentityに基づくブランド価値の明確化により環境意識の高い顧客層のマインドへしっかりブランドのポジショニングをし、「環境保護に真摯に取り組む企業」「アウトドア愛好家の味方」といったImageを通じて顧客の共感を得て、単なる製品購入ではなく、ブランドとの価値観共有を促進しています。また、上記で示した『WORN WEAR』や『1% for the Planet』の活動を通して、信頼性とブランド忠誠度を高めPatagoniaを「ただのアウトドアブランド」ではなく「社会的影響力を持つ企業」として認識させることに成功しています。

コトラーは、「顧客はかつてのように単なるターゲットではなく、マインドとハートを持つ『全人的存在』である。」と語っています。ブランドイメージの重要性が高まり、顧客との共創が重視され、顧客たちと世界に価値を「共創していく」ことこそが、最終的には企業の製品が売れることにつながるとコトラーは指摘しています。

マーケティング3.0では、企業が社会的責任を果たし、顧客と共に持続可能な価値を創造することが成功の鍵となります。誰かに寄り添った考え方がマーケティングにおいても必要となってきた時代だったのですね。

次回は現代にぐーーんと近づいたマーケティング4.0についてご紹介いたします!

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