コラム

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コトラーのマーケティング1.0~5.0<4.0編>

みなさんこんにちは!サポーターの薄井です。
さて、今回は【コトラーのマーケティング<4.0編>】をお届けします。

〰さらっとおさらい〰
マーケティング1.0~5.0って?
アメリカの経営学者で「現代マーケティングの父」、「マーケティングの神様」と評されるフィリップコトラーによって提唱されたマーケティングの変遷を現したものです。
【1.0】製品自体の特長や性能、品質を重視し、顧客のニーズやウォンツ、市場の変化は重視しない「製品中心」のマーケティング
【2.0】企業が「製品中心」から「顧客中心」にシフトし、顧客のニーズに応えるためのマーケティング
【3.0】企業が社会的責任を果たし、顧客と共に持続可能な価値を創造することを重視した「社会志向」マーケティング

ここからは年代がぐーんと現代に近づいた<4.0編>、さっそくいってみましょう!

マーケティング4.0 【2010年代】


2010年代以降は、スマートフォンの復旧やソーシャルメディアが急速に拡大しました。SNS等の発展により顧客が製品を購入後、自ら情報の発信をできる環境が整い、企業は顧客の購入後のプロセスまで考えるマーケティング活動をする必要がでてきました。マーケティング3.0で唱えた「社会志向」の製品だけではなく、「自己実現」のような顧客が精神的価値を満たす製品を提供することがマーケティング4.0では求められるようになりました。

では、自己実現とはどういったことでしょうか。
顧客はその製品やサービスを通じて自分の価値観や目標を達成し、自己成長や満足感を得ることを目指しています。これまで紹介してきたマーケティングの変遷は、『マズローの欲求段階説』で説明すると理解しやすいといわれています。人間は、生理的欲求が満たされるようになったら安全欲求を求め、それが満たされるようになったら社会的欲求、承認・尊厳欲求、自己実現欲求というように上位の欲求を満たしていき、自己実現に向かって絶えず成長するという理論です。モノや情報が溢れるようになった先進国では、既に多くの顧客が生理的欲求~承認・尊厳欲求までを満たせるようになりました。そのため、最上位の『自己実現:自分の好きなことだけを追求する』欲求を満足させる製品やサービスの提供が必要となりました。

顧客の心をつかむ5つのプロセス


デジタル時代における顧客との関係性に焦点を当て、顧客の認知における5つのステージを通じて、顧客の購買プロセスを理解し、適切な戦略を策定することを求めた「5A理論」をコトラーは提唱しています。「5A理論」を用いてカスタマージャーニーを設定することで、顧客のニーズを理解し、ブランドとの接点を最適化することができブランドロイヤルティを高めることに繋がります。

✍プチ解説1

カスタマージャーニーって?
企業が顧客一人一人の行動や感情を深く理解し、よりよい製品やサービスを提供できるように『顧客が商品やサービスを購入・利用するまでの道のり』を見える化したもの。

✍プチ解説2

5A理論って?
下記5つの「A」から成り立っており、顧客の購買プロセスやブランドとの関係性を説明するためのフレームワークです。
◆認知(Aware)
家族や友人から商品の評判を聞いたり、広告を見たりして存在を知っている状態
◆訴求(Appeal)
顧客がブランドや製品に対して興味を持ち、魅力を感じる状態
◆調査(Ask)
魅力を感じた商品に対して調査している状態
◆行動(Act)
商品情報を見て興味・関心が高まり購買する状態
◆推奨(Advocate)
顧客が商品に対するロイヤリティを感じている状態

 

冷蔵庫を例に表を作成してみましょう。

この例では購入から推奨までスムーズに繋がっていますが、調査段階で他社と比較され、行動の結果として他社へ流れてしまう可能性も考えられます。こうした顧客行動を見える化し、課題や改善点を明確にすることでPDCAサイクルを回し、ブランドロイヤルティを高めることができます。

コトラーは、「マーケティング4.0とは、企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティング・アプローチである」と語っています。SNS時代と呼ばれるオンライン化が加速する時代において、顧客とのオフラインでの触れ合いは企業にとって強力な差別要因となります。例えば、顧客がオンラインショップで商品を購入し、実際の店舗で受け取れることや、SNSでクーポンを取得し、店舗で利用する等、このようなオンラインとオフラインを一体化させたマーケティング手法を考えていく必要があります。

また、「マーケティング4.0の究極の目標は、顧客を認知から推奨に進ませることである」ともコトラーは述べています。顧客の認知から推奨までのカスタマージャーニーを重視し、従来のマーケティング手法にデジタル技術を活用して、顧客との関係性を強化する戦略を展開しました。技術の進化と共にマーケティングも進化が必要なことがよくわかりましたね。

次回は、コトラーのマーケティング変遷最後となるマーケティング5.0についてお届けします!

これまでのコラムはこちらからご覧いただけます。
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<2.0編>
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