コラム

Column

中小企業省力化投資補助金について

 

中小企業省力化投資補助金とは

現在第2回の公募がスタートしている「中小企業省力化投資補助金」。
中小企業省力化投資補助金とは、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者などが、生産性向上や業務効率化のためにIoT・ロボットなどの省力化製品を導入するための経費の一部を国が補助することにより、中小企業の省力化投資を促進し売上拡大や生産・業務プロセスの効率化を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
2025年3月の第1回より「一般型」の申請枠が増設され、「カタログ注文型」「一般型」2つの申請方式があります。 今回は、この「中小企業省力化投資補助金」の申請の基本要件と、2つの申請方式の特徴や違いについて解説していきます。

 

中小企業省力化投資補助金の基本要件(共通)

中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」「一般型」のどちらにもあてはまる要件は、以下になります。

【対象事業者】
・応募交付申請時点において「日本国内で事業を営む中小企業等」であること(業種ごとの資本金・従業員数基準あり)
・従業員を雇用しており、事業場内最低賃金が地域別最低賃金を超えていること
・ものづくり補助金、中小企業等事業再構築促進補助金等、他補助金で交付を規定回数受けたり、同事業内容で交付を受けたりと規定に反することがないこと

【対象事業】
・労働時間の短縮や省人化、生産性向上を目的とした取り組みであること

【対象要件】
・賃金引上げを行うこと

 

中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」について

まずは、中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」からまいります。こちらは基本的に昨年から募集されていた内容とほぼ同じものになります。

【補助対象】
中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」の補助対象となる製品は、中小企業省力化投資補助金公式サイト「製品カタログ」に登録されたものに限ります。製品の本体価格や導入経費などが対象経費となります。

清掃ロボット / 配膳ロボット / 自動倉庫 / 検品・仕分システム / 無人搬送車(AGV・AMR) / スチームコンベクションオーブン / 券売機 / 自動チェックイン機 / 自動精算機 / タブレット型給油許可システム / オートラベラー / 飲料補充ロボット / デジタル紙面色校正装置 / 測量機 / 丁合機 / 印刷用紙高積装置 / 印刷用インキ自動計量装置 / 段ボール製箱機 / 近赤外線センサ式プラスチック材質選別機 / デジタル加飾機 / 印刷紙面検査装置 / バリ取り装置 / 自動調色システム / 蛍光X線膜厚測定器 / 自動裁断機 / 原材料自動計量混合搬送装置 / トムソン加工自動カス取り装置 / 印刷用紙反転機 / 5軸制御マシニングセンタ / 自動車向け溶接機 / バランサ装置 / 地上型3Dレーザースキャナー / GNSS測量機(RTK) / ピッキングカートシステム / ラックシステム / 板金機械用材料シート自動搬入・搬出装置 / 自動紙折機 / 食品包覆機(食品包あん機、餃子成型機等) / 鋳造用ブラスト装置 / インライン非破壊検査装置(内部不良検査) / プレスブレーキ用金型自動交換装置 / 印刷物インサーター / 建設現場作業ロボット(鉄筋組立作業ロボット) / コイルライン / プレス間搬送ロボット / 入出金機 / 美容ライト脱毛機器 / 自動フライヤー / 産業用デジタルラベル印刷機 / パワーアシストスーツ 等

 

また、中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」の注意点としては、業種ごとに対象となる設備が決まっています。
例)券売機は飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業が対象など。

 

【補助率・補助上限額】
補助率は1/2、補助上限額は従業員数によって異なります。

また、《大幅賃上げ特例》の適用条件を満たした場合、補助上限額が引上げになります。その要件は、
① 給与支給総額+6%以上
② 事業場内最低賃金+45円以上賃上げ
とする計画の提出です。申請時に引き上げ計画を従業員に表明していることが必要で、正当な理由なく①②のいずれか一方でも未達の場合は補助額の減額になります。

 

【基本要件】
補助事業終了後3年間、毎年、申請時と比較して労働生産性を年率平均成長率(CAGR)3.0%以上向上させる事業計画を策定し、実行することが必要です。
ちなみに労働生産性の定義とは、

(付加価値額)=(営業利益)+(人件費)+(減価償却費)
(労働生産性)=(付加価値額)÷(従業員数)
(労働生産性の年率平均成長率)=[{(効果報告時の労働生産性)÷(応募・交付申請時の労働生産性)}^(効果報告回数※)-1-1]×100%

 

となります。

 

【申し込み期間】
中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」は随時申請が可能です。

 

【申請から事業完了までの流れ】
中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」では、事業計画期間は3回の効果報告の提出が必要なので注意が必要です。

 

 

中小企業省力化投資補助金「一般型」について

今年新たに始まった中小企業省力化投資補助金「一般型」についてです。

【補助対象】
中小企業省力化投資補助金「一般型」では、カタログに登録されていない省力化設備やオーダーメイド(セミオーダーメイド)の設備・システム等の導入が目指せます。経費の必要性及び金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できる以下の経費が対象です。

〈オーダーメイド設備とは〉
汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備となります。

機械装置・システム構築費※1 / 運搬費 / 技術導入費※2 / 知的財産等関連経費※2 / 外注費※3 / 専門家経費※3 / クラウドサービス利用費

 

※1 必ず単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備導入が必須
※2 機械装置・システム構築費以外の経費の補助上限額あり
※3 上限額=補助対象経費(税抜)の1/2

 

【補助率・補助上限額】
補助率は中小企業1/2、小規模・再生事業者は2/3、補助上限額は従業員数によって異なります。ただし、補助金額1,500万円を超える部分の補助率は一律1/3です。
中小企業については、補助率2/3にアップさせる《最低賃金引上げ特例》もあります。適用条件は、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いることです。(小規模・再生事業者は除く。もともと補助率2/3なので)
また、《大幅賃上げ特例》も中小企業省力化投資補助金カタログ注文型と同様ありますが、こちらは要件が異なり、
① 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
② 事業場内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準
とする必要があります。上記①、②のいずれか一方でも未達の場合、各申請枠の従業員規模区分別の補助上限額との差額について補助金の返還になります。

 

【基本要件】
中小企業省力化投資補助金「一般型」は中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」と違い、基本要件が細かく設定されており、そこに基づいた諸々の計画の策定が必要です。

① 労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加
② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加
③ 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、 基本要件は①、②、④のみとする。
その他申請時に必要なものが、
① 補助事業者の業務領域・導入環境において、当該事業計画により業務量が削減される割合を示す省力化効果が見込まれる事業計画の策定
② 事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出
③ 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画の策定
④ 人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画の策定

 

労働生産性の年平均成長率については、中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」と同様です。

【申し込み期間】
第2回が現在公募中です。
2025年4月15日(火)~5月30日(金)

 

【申請から事業完了までの流れ】
中小企業省力化投資補助金「一般型」では、本事業の完了した日の属する会計年度の終了後5年間は効果報告の提出が必要なので注意が必要です。

中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」「一般型」の違い

ここまで中小企業省力化投資補助金の「カタログ注文型」と「一般型」についてそれぞれお伝えしてまいりましたが、まとめとして、2つの類型の違いは以下のとおりになります。

中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」は、すでに効率化を認められているため、選定後の補助金申請や導入が比較的スムーズで迅速、中小企業省力化投資補助金「一般型」は、申請書類の準備は大変ですが、カタログに縛られずより自社の課題やニーズに最適な選択省力化設備の導入が可能です。

 

中小企業省力化投資補助金のまとめ

中小企業省力化投資補助金は昨年から始まった新しい補助金ということもあり、あまり多くの人に知られていない補助金になります。また当初予定していた予算消化が芳しくないためか、申請条件やルールがどんどん緩和され、今年からは中小企業省力化投資補助金「一般型」という申請類型も登場しました。
・原則として製品の置き換えは補助対象外だったものが、一部機能・性能を有している省力化製品については置き換えであっても交付申請が可能
・カタログに載っていない省力化製品であっても、多様なニーズに応えることができる「一般枠」の登場
・カタログ注文型と一般型で補助対象経費が異なれば併用申請が可能
というように、この補助金は始まったばかりの今が非常に狙い目となっています。中小企業の皆さんはできるだけ補助金を活用して設備投資をしないともったいないというくらい、現在は様々な補助金が出ています。

弊社では様々な補助金・助成金の情報提供を行っております。補助金・助成金をご活用されたい方はぜひご相談ください。

中小企業省力化投資補助金を、より詳しく内容を知りたい方は中小企業省力化投資補助金公式サイトをご覧ください。