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【中小企業におけるDXのメリットと独自のアプローチ】セミナーレビュー

中小企業におけるDXのメリットと独自のアプローチ

今回参加したのは、くまもと森都心プラザ ビジネス支援センターが主催する令和3年度ビジネススクールの【中小企業におけるDXのメリットと独自のアプローチ】というセミナーになります。講師は、クリエイトバリュー代表で中小企業診断士の中村宏氏。DXって最近よく聞きますが、実際どんな取り組みのことをいうのか興味があり、参加しました。

 

中村宏氏プロフィール

九州大学工学部応用原子核工学科卒業。大手電機メーカー、コンピューターメーカーでSEを経て、コンサルティング業に従事。その後、「クリエイティブバリュー」設立。福岡県より経営革新事業者として認定を獲得。現在は、ITに関するセミナーを各地で多数開催されています。

 

 

第一部デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは

DXとは、全ての人々の暮らしをデジタル技術で変革していくこと。
D=デジタル、X=トランスフォーメーションの略です。
2018年経済産業省のDXガイドラインが定義されました。
その背景には、企業が抱えるシステムの老朽化があります。

2025年問題

最近でも大手銀行のシステム障害でATMが使えなくなる。とかニュースで耳にしますね。システムの老朽化は2025年問題(超高齢者社会の到来とは別)の危険性をはらんでいるそうです。

2025年は昭和100年にあたり、昭和を使っているプログラムでは昭和100年にあたる2025年を昭和0年と誤認識するのではと言われています。公文書などで元号が使われていますが、印刷や表示するプログラムだけを修正して昭和64年以降を平成に、昭和94年以降を令和とすれば、大元のプログラムを修正しなくてすみます。しかし、抜本的対策をせず、こういった対応をしているシステムでは不具合が発生する可能性があります。また、経済産業省では「2025年の崖」という問題提議をしています。複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムを残したままだと国際競争に生き残れず、経済の停滞となってしまう問題です。2025年を境にレガシーシステムを構築したエンジニアがいよいよ第一線からいなくなるためシステム変革最後のチャンスという意味です。

怖いですね~

2025年問題の危険性を回避するためにはDX化を推進することが重要ですが、大企業と中小企業では取り組み方やできることに大きな違いがあります。

 

第2部中小企業におけるDXの進め方

お客様との接点をどう変えていくか。競争力の強化。
大企業の場合…組織が大きく、専門・分化が進み、権限の境界が明確。(課題の共有化が進み難い)
デジタルツールの導入など、デジタル化で対応できます。
中小企業の場合…役割分担はあるものの流動的(課題の共有化がやりやすい)
デジタル化よりも顧客との接点づくりを強化していくことが最重要です。

【中小企業のDXの進め方】
1.業務・事業の見直しと自社の強みの棚卸し
2.自社の事業の目的を見定める
3.最も効率的に目的を達成する業務プロセスを構築
4.ITやデジタル技術で代替えできるプロセスの抽出とシステム構築
※自社の競争優位を構築していき、顧客との接点づくりを強化することが重要です。

【競争優位の探し方】

競争優位性を構築していくためには、自社の強みを知ることが重要であり、その方法には以下のやり方があります。
1.お客様の感謝の声を集める。
2.自社の特徴的価値を抽出するためのチェックシートを活用する。
3.競争力を高める戦略の方向性を決めるため、アンゾフの成長ベクトル※を活用する。
4.特性要因図(フィッシュボーンチャート※)を活用する。

聞きなれない言葉がいくつか出てきたので、簡単な説明を入れておきます。

フィッシュボーンチャートとは、「現在の結果」(特性)がどのような要因で発生したのかを図式化したもの。」魚の骨に似た形なので、フィッシュボーンと呼ばれている。

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色々な方法で自社の強みを整理して競争優位性のある戦略に落とし込むことが、中小企業のDXの進め方の肝です。

デジタル化にはできるだけ身近なものを活用しましょう。

 

競争力を高める戦略を策定したら、

「お客様創り」・・・個々のお客様を「信者客」に育てる。

「5S活動」・・・職場の改善のための最も基礎的な活動を行い、課題を見つける。

「PDCAによる振り返り」・・・目標達成のためにタイミングを決めて振り返り改善点を見つけてアップデートしていく。

ここまでが一連の進め方の流れです。

 

取組みの事例

廃棄率ゼロを目指す加工体制と国内で最も厳しい衛生管理で食肉業界をリードする、福岡県の株式会社清川産業様

AIシステムによる見積り業務効率化及び鋳造方案作成基盤の構築プロジェクトが、神奈川県DXプロジェクト推進事業に選ばれた神奈川県の株式会社コイワイ様の事例が紹介されました。

DXを成功させるためには

DXが失敗する要因がないかをチェックが必要です。

1.現場任せにしない
2.現場の抵抗
3.システムの導入自体が目的になってしまっている
4.システムの開発はできたが、定着がうまくいかない
5.全体のプログラム・マネジメントができていない

円滑に進めるためには専門家の意見を聞くことも大事です。

 

まとめ

今回は、DXの具体的な活用法、事例を多く紹介するというよりは、大企業と中小企業の取り組み方の違いから中小企業がいかにDXに取り組んでいくか。といった取組みのプロセスの部分に焦点を当てたセミナーでした。自社の強みや競争優位性を見出したり、それを事業計画に落とし込む作業は自社だけで進める事ができればよいですが、マーケティングの専門知識がある第3者を入れた方がスムーズに計画を策定できます。事業計画の策定でお困りの際は、熊本マーケティング研究所までお気軽にご相談ください。

 

 

DX投資に活用できる補助金制度

最後にDX投資に活用できる補助金として、以上5つの補助金の紹介がありました。

弊社では紹介された5つの補助金の申請支援を行うことが可能です。類似の補助金も含め採択実績が豊富にあり、補助金申請に関するノウハウを蓄積しています。事業の状況を丁寧にヒアリングさせていただいたうえで、多面的な分析を行い、説得力のある申請書を作成することで採択率を高めます。
補助金を活用されたい方は、お気軽にお問い合わせください。

 

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